天才テリー伊藤対談「高野人母美」(2)嫌いじゃない人を殴るのって平気? (2/2ページ)
テリー ああ、高野さんの場合はモデルという肩書があるから、よけいにそう思われたのかもしれないね。
高野 お客さんには、選手が試合までにどれだけの努力をしたかは見えないですからね。もちろん選手も、自分から「こんなに努力しました」とは言わないし。
テリー そりゃそうだ。
高野 だから、試合で結果を出せなければ、ヤジられてもしかたないとは思っています。
テリー 俺が高野さんを知ったのも“モデル兼プロボクサー”という肩書があったからこそなんだけれども、そんな感じでボクシングの実力とは違うところで注目されると、困ることも多かったんじゃないの? 相手も、いつもより気合いを入れてくるだろうし。
高野 その点、ジムは気にしていたかもしれないけど、私は気にならなかったですね。周りの状況とか対戦相手はあんまり関係なくて、今自分ができることを一生懸命やろうといつも思ってましたから。あと、相手がやる気になってくれるのは、いいことですし。
テリー 俺、前から不思議に思ってるんですけど、ボクシングって嫌いでもない相手を殴るじゃないですか? あれって平気なもんなんですか?
高野 いえ、殴れないものですよ(笑)。
テリー あ、やっぱりそうか! ゴングが鳴ったからって、嫌いでもないヤツをいきなり殴れないよな。
高野 そうですよ。ジムの人って「相手を殺すつもりで行け!」とか言うんですけど、そんな簡単に「殺せ」って‥‥。
テリー さっきまで握手してたのにな。
高野 そうそう! そういう闘争心というか心の切り替えができないところが、自分に足りない部分だと理解してはいるんですが。