【マイナンバー】トラブル多発で暗雲…なりすまし・不正利用で国民のリスク増大

デイリーニュースオンライン

Photo by Luke,Ma
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 今年1月から本格運用が始まった「マイナンバーカード」のトラブルが続発している。また、マイナンバー制度は全国民の暮らしに関わってくるにもかかわらず周知はあまり進んでおらず、セキュリティ面においても不安が指摘されている。

システム障害に誤配…見切り発車でトラブル多発

 各家庭に届けられている「通知カード」は全ての人に振り分けられた12ケタのマイナンバーが記載され、就職や税金の支払い、年金の受け取りなどの際に番号の提示を求められる。将来的に銀行にもナンバーの届け出が必須になる見込みだ。さらに、希望者には身分証として使えるICチップ搭載の「マイナンバーカード」が無料交付される。

 だが、政府肝いりの大事業は決して順調とは言い難い。

 2016年1月19日、全国各地の住民からマイナンバーの運営を担っている地方公共団体情報システム機構が送付した封書に「通知カード」が未封入だったとの訴えが相次いでいることがわかった。機構側は「同封した」と主張しているが、昨年から各地の自治体で複数の通報があった。機構は昨年、プログラムミスで通知カードが作成されていないのに「配達済み」と誤認する失態を犯している。

 同13日には同機構でシステム障害が発生し、一部自治体で一時的に「マイナンバーカード」の交付ができなくなった。同14日夜には鳥取県の県情報センターでカード交付システムに不具合が起きた。

 また、同日に愛知県豊田市でマイナンバーカード1枚を誤って別の市民に交付したことが発覚。交付臨時窓口でカードを受け取りに来た男性にカードを交付したが、町名と名字が同一の別人のものを渡していた。同カードは全て顔写真がついているが、それでも誤交付が起きてしまった。

 マイナンバーカードの誤交付も問題だが、昨年は「通知カード」の誤配も全国で毎日のように相次いだ。受け取った人が気付かずに開封してしまったケースが多く、個人情報の漏えいに至ってしまっている。

 そもそも「通知カード」が手元にないという人も少なくない。

 同19日、総務省は全体の6.2%に当たる362万通が本人に受け取られず、市区町村に保管されていると発表した。「住民票を変えずに転居した」「DV被害から逃れるために引っ越した」「不在で受け取れなかった」などといった事態が多発した結果であり、関係者たちは「当初の予想の倍」と驚いている。現代社会の事情を考えれば予測できたと思えるが、その対策のないまま見切り発車したことが浮き彫りになった。

「ポイントカードと統一」案…「正気か?」と非難殺到

 すでにで暗雲が漂っているマイナンバー制度だが、さらに国民の頭を悩ませる政府の暴走が物議を醸している。

 あまり国民にとってメリットがないカードを普及させようと必死な総務省が、マイナンバーカードと各種ポイントカードを一本化することを検討しているのだ。

 サイフの中に大量に入っているポイントカードに頭を悩ませている消費者は多い。しかし、マイナンバーカードを頻繁に利用するポイントカードとしても使うとなれば、紛失やスキミング、ナンバー情報の流出といったリスクが増大する。

 さらに驚くべきことに、将来的に銀行のキャッシュカードやクレジットカードとしても使えるようにする案が出ている。昨今は情報流出の分野においても「リスク分散」が重要視されているが、それと完全に逆行する考え方だ。これには識者をはじめとしたネットユーザーたちから以下のような批判が巻き起こっている。

「企業にそんなリスクを負わせて政府は責任が持てるのか」
「マイナンバーカードってそういうためのものじゃなかったよね?」
「個人情報の塊のマイナンバーカードを民間企業のカードと一本化するって危険すぎる」
「大量に国民の個人情報を流出させておいてよく言うわ」

マイナンバー導入国で「なりすまし」事件多発

 このようにマイナンバー制度において国民が最も不安に感じているのはセキュリティ面。政府は厳重な情報管理体制を整えているそうだが、昨年末に保険証情報が約10万件流出したばかりで説得力は皆無。マイナンバーが流出すれば個人情報が丸わかりになってしまうのではないかと懸念がある。

 といっても、マイナンバーによって芋づる式に個人情報が漏れる恐れはない。今までと同じく個人情報は各行政機関が分散管理しているため、ナンバーだけですべての情報が把握される可能性はないのだ。

 また、マイナンバー利用においても役所などでは免許証などの身分証明書で本人確認をする。ナンバー単体では手続きができず、マイナンバーカードは顔写真付きなので「なりすまし」の心配はないというわけだ。

 しかし、前述の「カード誤交付」のケースでは顔写真付きでも職員が間違った相手に渡してしまった。マイナンバーカードは身分証明書として使えるが、顔写真がついているだけでは不正利用を防げない証拠になったともいえる。もしカードを盗まれたりスキミングされれば、ケータイ契約や振り込め詐欺用の口座開設、消費者金融での借り入れなどに悪用される危険性がある。

 実際、マイナンバー導入国であるアメリカでは「なりすまし」が横行している。

 身分証明となる社会保障番号が数千万件単位で流出し、それを何者かが悪用して日本の国税庁に当たる内国歳入庁のシステムに不正アクセス。1万3000人分の税還付がだまし取られてしまった。

 これ以外にも様々な犯罪に悪用できるため、米国では社会保障番号が闇市場で広く取り引きされている。それゆえに販売目的で大量の番号を入手しようとするハッカーが後を絶たず、悪循環になっている。

 問題山積のままスタートしてしまった日本のマイナンバー制度が、導入先進国の二の舞にならなければいいが……。

佐藤勇馬(さとうゆうま)
個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。歌舞伎町や新大久保をホームグラウンドに飲み歩くのが唯一の楽しみ
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