少年ジャンプで連載打ち切り『バディストライク』最終回が話題に (2/2ページ)
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漫画
というわけで、今回のような最終回を描く精神性は個人的には非常に納得できるんですが、1〜3まで総じて言えるのは「これまでの作品の雰囲気が好きだった読者のことは考えてない」ということですね。まあ、打ち切りって失職と同じですから、実際、打ち切られる立場になるとそういうこと考えてられなくなるんですが。
ですが、今回の『バディストライク』の最終回ネタはまだインパクト不足だと思います。この手のやつだと最近では『LIGHT WING』というジャンプの打ち切り漫画が似た方向性で高レベルなことをやったので、それもあって爪痕を残すにはやや厳しい気がします。
個人的にそれよりも気になるのは、最終回ではっちゃけておきながら、後半で不意に正気に戻ったかのような展開で締めたことでしょうか……。
この漫画は7話でよく分からない問題提起が始まり(「キャッチャーとは何だ」)、8話から10話まで回想を交えてその答えを探り、最終話でまとめる……という構造だったのですが、これが何が言いたいのか全然よく分かりません。たぶん「過去に囚われるな」とか「チームワークが大事」とか、そういうことなんじゃないかとは思うんですが、そもそも読んでる側としては過去に囚われてる気もしないし、チームワークを疎かにしているようにも見えないんですよね……。問題がないのに問題提起されてもな、という感じ。
「キャッチャーとは何だ」に対するハッキリした答えも作中で示されず、過去回想がこの答えにどう繋がっているのかもよく分からない。最終回のネタにはそれなりの爽快さがあったのですが、最後が結局この問題に立ち返った上に、やっぱりなんだかよく分からなくてフワフワしてるのでモヤモヤ感だけが残ってしまいました。
著者プロフィール

作家
架神恭介
広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『ダンゲロス1969』(Kindle)