大事な回復のバロメーター? 病院で「おならセンサー」が使われているってほんと?

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下ネタの定番である「おなら」。大笑いしたらつい気が抜けてぷっと出てしまい、気まずい思いをした経験、一度はあるでしょう。

健康なひとには恥ずかしい話題のおならも、盲腸に代表される腸の手術では回復のバロメーター。ところが本人が気づかないうちに「すかし」てしまい、回復しているのに退院が遅れることも……。そんな理由から「おならセンサー」が誕生しました。おならの成分は「メタン」が有名ですが、体質によっては作られないこともあり不正確、そこで「水素」を検出する方法が採用され、自己申告の3倍もの感度でおならを記録できるようになったのです。

■クサいのは「メタン」のせいじゃない

おなら=メタン=クサい、と言われがちですが、

 ・メタンは無臭

 ・ひとによってはメタンが作られない

が事実。メタンハイドレートで知られるように燃料として使えるのは確かですが、においの原因はおもにインドールやスカトール、くわえて成人の3分の2はメタンを生み出す腸内細菌がいないので、「濡れ衣」以外のなにものでもありません。標準的なおならの成分は、

 ・窒素 … 23~80%

 ・水素 … 0.06~47%

 ・二酸化炭素 … 5.1~29%

 ・メタン … 0~26%

の範囲と言われ、体調/体質によって増減するものの、空気と同様に燃えない窒素が大半を占めています。電撃的なパフォーマンス集団のもちネタでおならを燃やす芸がありますが、きっと水素かメタンが多い体質なのでしょう、成分の割合を考えれば、誰でもできる芸ではありません。

もっとも身近な恥ずかしいネタであるおならも、病院ではだいじなメッセージとして扱われます。盲腸のような「腸」の手術後、回復したかどうかの「目安」に使われるからです。ブッと出れば健康のきざし、27代総理大臣・浜口雄幸(おきち)氏が腸の手術で入院したときも、新聞で「ガス一発のよろこび」と回復が報じられたぐらいですから、手術後のおならは、むかしからだいじな存在なのです。

■おならかどうかは「水素」が決め手

ところが、本人も気づかないうちに「すかして」しまうことも多く、自己申告に基づいていると判断が遅れることもしばしば。そこでおならを検知する装置が開発され、病院でも使われるようになったのです。

この装置は、

 ・おしり近辺にチューブと固定、本体のポンプでおならを吸い込む

 ・おならかどうかは「水素」で判定

窒素は空気にも多く含まれる、メタンはひとによって含まれない、二酸化炭素は吐く息で増減するため不正確、その結果、水素をもとに判断する仕組みになったのです。

肝心の判定精度は、

 ・自己申告 … 約50回

 ・センサーが検知 … 約140回

と機械の圧勝。眠っていてももちろんOK、わずかなおならも見逃さず、3倍近くも記録されたのです。

メタンの印象が強いおならを、水素で判定する点がたいへんユニークですね。もし論文や研究で行き詰まったら、定説やイメージにとらわれず、自由に発想すると良いかもしれません。

■まとめ

 ・腸の手術後、おならは回復のバロメーターになる

 ・おならのにおいはおもにインドールやスカトール。メタンは無臭なので関係ない

 ・成人のおよそ2/3は、メタンを作る腸内細菌を持っていない

 ・水素を検知し、おならを記録する装置が開発された

 ・本人の自覚の約3倍と、わずかなおならも見逃さない高性能

(関口 寿/ガリレオワークス)

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