北朝鮮の核兵器が「人気商品」になる可能性

デイリーNKジャパン

北朝鮮の核兵器が「人気商品」になる可能性

国連安全保障理事会は北朝鮮が初めて核実験を行った2006年以降、今回も含めて5回の制裁決議を行った。しかし、制裁の履行状況を監視する国連の専門家パネルの最新報告書によれば、2015年に自国の取り組みを国連に申告したのは加盟国193のうち42カ国。これまで一度も報告したことのない国は90カ国に及ぶ。

実際のところ、世界には北朝鮮の核兵器や弾道ミサイル開発について、日米韓のように「とんでもない」と思っている国ばかりではない。実際には、「いいな」「うちにも少し分けてくれないかな」と考える国も少なからずあるのだ。

たとえば、イラン。公安調査庁は2015年12月に発表した『内外情勢の回顧と展望』の中で、北朝鮮とイランが核・ミサイル分野での協力関係を継続している可能性を指摘している。

私も個人的には、これ以上、核兵器を持つ国は増えない方が良いと考えている。しかし、核兵器が「欲しい」と考える国があるのは、それなりの背景があるからだ。イランが核武装したイスラエルと敵対し、米国から軍事的圧迫を受けてきたのは周知の通りだ。最近では、サウジアラビアとの対立が激化している。

また、北朝鮮と軍事的に親密なつながりを維持しているベトナムはどうか。北朝鮮は、ベトナム戦争に際して空軍を派兵しており、両国の親密さも、基本的にはそうした歴史に根差していると思われる。

しかし仮に、ベトナムとの間に領土問題を抱える中国が、核兵器でベトナムを威嚇したらどうなるか。米国が、太平洋艦隊を送ってベトナムを守るとは到底、思えない。そのとき、ベトナムが北朝鮮に何らかの支援を求めたとしても、まったく不思議ではないだろう。

金正恩氏の「マブダチ」であるシリアのアサド大統領などは、今まさに、武装勢力「イスラム国」や反政府勢力を、核兵器でなぎ払ってしまいたい誘惑に駆られているかもしれない。

日本や韓国のように米国の「核の傘」で守られている国々とは、まったく違った目で北朝鮮を見ている国も少なくないということだ。

それに、そうした国々のほとんどは、金正恩氏がいちばん気にしている人権問題に言及することがない。北朝鮮は今のところ、核兵器技術を外国に移転する意思を否定しているものの、いずれ気が変わる可能性だってないとは言えないだろう。

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