秋津壽男“どっち?”の健康学「梅田の暴走事故で発覚した急性心疾患の恐怖“大動脈解離”は予兆ナシで検診でも発見困難」 (2/2ページ)

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有名人でも、昨年末にゴルフ中に胸の痛みを訴え緊急搬送された笑福亭笑瓶さんや、大木凡人さんも昨年この病気になっています。06年には加藤茶さんが10時間以上の大手術で一命を取り留めるなど高齢になるほど、発症する人が多いのが特徴です。

 九死に一生を得た笑瓶さんは「(発症前の)ここ数日、腰が張っていた」そうですが、腰痛との因果関係もはっきりしておらず、詳しいことがわからない病気です。対するくも膜下出血などの急性脳疾患は、激しい頭痛などの兆候がありますし、脳ドックで検診すれば発症前に兆候を発見することができます。脳梗塞も軽い症状が兆候として現れます。

 しかし、大動脈解離だけは突然発症するため、極端な話、前日に人間ドックを受けていても兆候を見つけることは不可能に近い。しかも発症すると8~9割が死に至ります。

 ただ、まったく予防法がないとは言い切れません。一般的に大動脈解離は高血圧だとなりやすいと言われています。動脈硬化のリスクを避けるため、血圧をしっかり管理して太りすぎないようにすることが、予防につながると言われています。昨今、多くの高齢者は、突然ポックリと亡くなることをよしとする風潮がありますが、大動脈解離こそ、れっきとしたポックリ死に至る病と言えるかもしれません。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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