金正恩氏の「引きこもり」が進行中…労働党大会日程いまだ公表されず (1/2ページ)
北朝鮮は5月に36年ぶりという「朝鮮労働党第7次大会」を控えている。しかし、韓国からは5月7日に予定されているという説が出たものの、いまだに正確な日程がアナウンスされていないという不可解な事態が起こっている。
朝鮮労働党は、北朝鮮の支配政党である。党大会とは少々強引な例えだが企業にあてはめれば「株主総会」だ。例え、議論内容、決議内容が、筋書き通りとはいえ、友好国の代表団を来賓として招き入れ、明確な成果、今後の展望などを示さなければならない。そして朝鮮労働党、金正恩第一書記の権威を高めるというのが大きな目的だ。逆に言えば、5月の党大会がお粗末な内容で終われば、金正恩氏の権威は失墜するというリスクも含まれる。
では、なぜ党大会の正式な日程が発表されないのか筆者なりに分析してみたい。
まず、金正恩が「来い」と言えばすぐに馳せ参じなければならないお国柄を考えれば、日程の発表がギリギリになるのも不思議なことではない。
つぎに、早期に日程を発表すれば、正恩氏がいつ、どこにいるのかを米韓に知らせてしまうことになる。「斬首作戦」を警戒している北朝鮮としては、保安面から日程を明らかにできない。
そして、弾道ミサイルを発射したうえで党大会を開きたい。党大会前の発射なら、成功した場合は「成果」として誇れる。そして、失敗ならダンマリを決め込めば良い。しかし党大会で発射を宣言し、大会後の発射で失敗したらメンツが立たない。だから大会前が良いのだが、成功の可能性を高めるためには天候を読まねばならず、大会日程の最終決定が遅れてしまう。
こうした事情から、日程を明らかにしていない可能性がある。さらに突っ込んで、深読みすれば金正恩氏は、「明らかにしたくない」と考えてもおかしくはない。つまり、名前こそ「党大会」だが、実質的な密室会議でいいと思っているのかもしれない。
先述のように党大会には、各国の代表団を招かなければ格好がつかない。おそらく一部の友好国、たとえばシリア、ベトナム、ラオスなどには既に日程を知らせ、代表団も参加するかもしれない。しかし、その他の国々は意図的に知らせない、または直前になって知らせる。そして、予定がつかなければ「参加しなくてもいい」。