熊本でGS割り込み、食事調達…テレビ局の横暴が止まらない!

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被災地でのマスコミの行動に非難が殺到(写真はイメージです)
被災地でのマスコミの行動に非難が殺到(写真はイメージです)

 大手マスコミであれば何でも許されるのか──。4月14日と16日に震度7の地震に襲われ、21日現在、死者が48人出ているという熊本の大地震。その現場では、上記のようなことを深く考えさせられる出来事が2つ立て続けに起こり、世間で議論が巻き起こっている。

■非難が殺到したマスコミの行動

 1つ目の問題は、関西テレビによるガソリンスタンドの割り込み問題である。こちらは17日、現地に住む女性がTwitter上で、関西テレビの車が、長蛇の列ができていた熊本県菊陽町のガソリンスタンドで、列を無視した割り込みを行い、先にガソリンを入れて去ったと投稿。女性の母親が割り込みを制止するよう声をかけたのも関わらず、無視して先にガソリンを入れたという。

 このことがネット上で話題になり、「常識に欠けている」と非難が殺到すると、翌18日に関西テレビは公式サイト上でこの行為が実際にあったことを認め、今後は社員やスタッフの教育を徹底していくと謝罪した。

 そして2つ目は、毎日放送のアナウンサーによる弁当問題だ。現地の取材に赴いていた毎日放送のアナウンサーが、16日の夜に弁当の写真と共に「食料が手に入りにくい」という旨の文章を同じくTwitterに投稿。こちらも「被災者への配慮が足りない」と世間を騒がせ、このアナウンサーは18日に自分の配慮が欠けていたことを謝罪し投稿を削除。毎日放送も、本来現地に赴く前に食料を到達するべきところを、現地で調達してしまったという事を認め謝罪することとなったのだ。

 現在、食料の問題では、支援物資などのおにぎりなどが余って大量に廃棄されている、というのが話題になってはいるが、地震が起こった直後に行われたこの行為には、常識が欠けていたと言われても仕方がない面はあるだろう。

 これらの大手マスコミの不祥事に対して、世間では「特権意識があるのではないか」「仕事のために行った人間が現地で苦しんでいる人間をないがしろにしていいのか」といった意見が多いようだ。一連の問題を通してこうしたメディアへの不信感がかなり強まっているのは確かだろう。

 2011年3月11日に起きた東日本大震災でも、こうした大手マスコミの対応で問題になった事案はある。週刊誌のAERAが、同年3月19日に発売の号で、防毒マスクをつけた人物の顔のアップの上に、「放射能が来る」というキャッチを載せたものを表紙にし、世間から「風評被害を助長するのではないか」と疑問を呈され、最終的には公式サイト上での謝罪に追い込まれるという事案が発生したのだ。

 これは今回起きた2つの問題とはその種類が異なるが、現地の人間の神経を逆なでしたという事については同様の問題であると言えるだろう。何故、大手マスコミはこうしたミスを犯してしまうのか。某キー局で勤務するテレビマン、O氏に聞いた。

「僕も東日本大震災では現地で取材をしましたけれど、今回の問題については正直酷いなあ、というのが率直な感想です。ガソリンの横入りに関しては、東日本大震災の際には運送業者や自衛隊、マスコミなどが発行してもらうことができた緊急車両認定を受けると、ガソリンを優先的に入れてもらえるということがあったので、今回もそういうノリでやってしまったのかな、という予想はつきますね。食料の現地調達なんていうのはもっての他。我々が東日本大震災を取材するために際には、会社に常備してあった乾パンと、カロリーメイトのような栄養補助食品を持って行き、2週間の滞在期間中はそれだけで過ごしましたから。あとは、阪神淡路大震災の時、マスコミが仮設トイレを使用したことが問題となったので、現地のそうしたトイレは使わずに、支社などの施設に戻るまではひたすらトイレを我慢する、というのも、当時のマスコミの中で不文律として存在していましたね。やはりこちらは取材する立場ですから、それぐらいの気配りはするべきだと思いますし、大半のマスコミはそうしていると思います。今回のように一部が問題を起こすことで、マスコミ全体のイメージが悪くなってしまうというのは忸怩たる思いがありますよね」

 O氏の言う通り、大手マスコミのほとんどはマナーを守って取材を行っているのだろうし、現地の実情を伝えることで支援物資や寄付が集まり、復興への助力になる、という面があるのは確かだろう。だが、一度今回のような問題が起こってしまえば、“他人の不幸をメシの種にしている”というその行為への不満が噴出することは避けられない。

 大手マスコミは、報道機関であるということを葵の御紋のように振りかざすことなく、そのことを念頭に置いて取材を行い、彼らにしかできないことをきっちりとこなしてほしいものである。

文・橘カイト(たちばな・かいと)
※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。
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