笑点の司会後任に太田光、タモリ、西田敏行…番組危機説の背景とは?

デイリーニュースオンライン

笑点オフィシャルHPより
笑点オフィシャルHPより

「こういうのを世見では『呆然』というんですかね」(三遊亭小遊三)

「朝、トイレに行ったら便器が無くなってるようなもんですよ」(三遊亭好楽)

「キッパリとした言葉をおっしゃって、男っぽい人だな」(林家木久翁)

「死ぬまでやったらいいと思ったんですよ。あそこ(司会者席)で死んじゃえば、私がまた突っ込めるし」(六代目三遊亭圓楽)

 落語家の桂歌丸(79)が、人気番組『笑点』(日本テレビ)の司会から降りることを発表した(注1)。長年、苦楽を共にした大喜利コーナーのメンバーも、ショックを受けている様子が伝わってくる。歌丸は昨年6月に腸閉塞で入院。その後も体調不良が続き、「体力的に保たない」という決断だった。

 『笑点』開始時から実に50年。第一回から出演し続けている歌丸の引退は、番組自体が大きな曲がり角に来ていることを突き付けた。まず焦眉の急となるのは後任の司会者選び。なにしろ50年の間に司会を務めたのは立川談志、前田武彦、三波伸介、三遊亭圓楽(五代目)、そして歌丸のたった5人しか存在しない狭き門だからだ(注2)。

『爆笑問題』の太田光が名乗りを上げたのは煽り芸だろうが、今回もタモリ、萩本欽一、西田敏行といった名前が取りざたされている。

「こうした<落語家ではないタレント>が司会者を務めたケースは、三波伸介などの例がある。しかし落語家の世界は閉鎖的で保守的ですからね。大昔ですが二代目司会者・前田武彦は、落語家たちと息が合わずに一年で降板しました。ただしタレントの起用に“落語家の気持ちを分かる人を!”と、猛反対して来たのが歌丸さんだから、彼が居なくなったら…」(スポーツ紙芸能担当記者)

 大物タレントでも持ってくれば大きな話題を呼ぶが、そこは歌丸以外の落語家も体質は同じ。結局は落語家から、大喜利メンバーからということになれば、先代に続いて六代目三遊亭圓楽が最有力だろう。

 そしてもう一つの問題が、<番組の高齢化>だ。最高齢の歌丸引退で多少は緩和されるとはいえ、木久翁78歳、圓楽66歳、好楽69歳、小遊三69歳。56歳の春風亭昇太と51歳の林家たい平を除けば、還暦超えは当然、平均年齢70歳オーバーの集団となる。

 高齢メンバーの健康が心配。さらに高視聴率とはいえ、視聴者層が高齢者に偏り過ぎているのもテレビ番組としては不安定になる。スポンサーが購買力のある30〜40歳代以上の女性を狙った番組制作を求める昨今、天然記念物といえるのが『笑点』。「お年寄りに娯楽を提供して企業イメージが上がればいい」と、スポンサー企業に余裕がある間はいいのだが…。

 古典落語派に言わせると、「落語への誤解を生む」という批判もある『笑点』。しかし落語家という存在を、この番組でしか見たことが無い──という人も多いのが現実。落語への気軽な入口として、末永く存続してもらいたい。

『笑点』お題風に、あいうえお作文で言えば…。

「し」んじられない長い間
「よ」く頑張ってくれました
「う」たまる(歌丸)さん
「てん」てき(天敵)の圓楽たちを見守ってね(注3)

(注1) 引退…5月22日放送回が最後となる。
(注2) 狭き門…ピンチヒッターで愛川欽也がやったこともある。
(注3) 天敵…歌丸と圓楽が罵倒し合うのが、ここ数年の定番。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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