金正恩氏が「落ち目」の韓国を飲み込む日 (1/2ページ)

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金正恩氏が「落ち目」の韓国を飲み込む日

北朝鮮が、韓国に「対話攻勢」を仕掛けている。

まず16日、「南朝鮮当局が民族自主、民族大団結の立場からいかなる提案を打ち出すなら、それについても虚心坦懐に論議することができる」と韓国に呼びかける、政府・政党・団体の共同声明を発表。続いて20日、国防委員会が公開書簡を通じ、朝鮮労働党第7回大会で提案した南北軍事会談について、韓国政府が迅速に回答しなければならないと主張した。そして21日には人民武力部が、韓国軍に対して軍事会談開催のための実務接触を提案している。

凄惨な人権侵害

こうした動きが2年ほど前に出ていたなら、韓国の朴槿恵政権は歓迎したかもしれない。

朴政権は本来、統一を強く志向していた。2015年1月、日本の経団連に当たる韓国の「全国経済人連合会(全経連)」はスイス・世界経済フォーラム(ダボス会議)に際し、会場のホテルで「コリアン・ナイト」を開催。500人余りのグローバル・リーダーに北朝鮮の伝統料理を振る舞い、開城工業団地で作られた製品を記念品として配った。この前年の会議では、朴槿恵氏も南北統一の可能性をアピールしている。

こうした流れを反転させたのが、昨年8月の軍事危機である。北朝鮮が非武装地帯にしかけた地雷が爆発。韓国軍兵士が重傷を負った事件を機に、南北は戦争の一歩手前まで行ったのだ。

韓国経済の落日

さらに今年に入り、北朝鮮の核事件と弾道ミサイル発射が追い打ちをかけた。朴政権の姿勢は一気に硬化。3月には北朝鮮人権法が成立し、北朝鮮の人権蹂躙の実態に関する記録を集め、内外に発信すると決まった。

そこでどのような情報が蓄積・発信されるかを考えれば、韓国国民が金正恩体制との統一をいっそう強く拒絶するであろうことは想像に難くない。

しかしそうであっても、韓国には南北統一をあきらめきれない事情がある。経済が「落日」の様相を深めているからだ。

経済の成熟とともに、GDP成長率は鈍化。さらには世界最速の少子高齢化が、未来に影を投げかけている。直近でも、輸出のけん引役のひとつだった造船業界が、深刻な危機に直面している。

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