シャープ「ロボホン」販売に垣間見える、国内ロボット市場の見通しとは

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シャープ「ロボホン」販売に垣間見える、国内ロボット市場の見通しとは

 5月26日、発売日を迎えたシャープのモバイル型ロボット電話、RoBoHoN(ロボホン)。 共同開発者でデザインなどを手がけた、 ロボットクリエイターの高橋智隆東大准教授が 「初代iPhone以来のイノベーションではないかと思う」と胸を張るロボホンは、 同社の台湾メーカー鴻海(ホンハイ)の傘下入り決定後、初めて発表した商品ということもあり、ネット上などでは大きな話題を呼んでいるが、その販売戦略についてはまだ全容が見えていない。果たしてロボホンは、ロボット市場の新たな起爆剤となるのか-。

販売各社は慎重な構え

 「ココロ、動く電話」と銘打たれたロボホンは、Androidプラットフォームをベースに開発された『モバイル型ロボット電話』で、 大きな特徴は、対話で操作できるユーザーインターフェースを採用した点。たとえば、電話をかける時は、「電話かけて」と声をかけると、ロボホンは「うん、誰にかける?」と問い返してくる。相手の名前(Aさん)を告げると「Aさんだね、かけていい?」と確認してくるので、「いいよ」と伝えると、相手を呼び出してくれる。こうしたコミュニケーションに付加価値を求める試みは、「ともだち家電」を掲げるシャープならではで、メディアからも「新たな相棒市場の可能性(日本経済新聞)」「気を許すと欲しくなる(日経BP」「 使って分かった「カワイイ」の威力(東洋経済オンライン)」など好意的な声が挙がっている。

 一方で、慎重な構えを見せるのが販売各社だ。ロボホンはシャープの特設サイトをはじめ、家電量販店やオンラインストアなどで販売される予定だが、大掛かりなキャンペーンなども特に見かけられず、どのショップも本体価格21万3,840円(税込)の横並びで、予約受付が行われている。

 ソフトバンクが昨年2月に販売を開始した「Pepper(ペッパー)」は、初回生産分300台販売が発売開始1分で売切れ。その後も購入者は後を絶たず、7月から12月まで各月千台販売したところ、いずれも1分で完売した。その背景には携帯電話同様の割賦販売方式や「ペッパー」の大規模なメディア露出、 ソフトバンクショップショップを含む販売チャネルの拡大など、周到な販売戦略があったとされているが、ロボホンの周辺には今のところ目立った「仕掛け」は見当たらない。

求められる製販一体の「覚悟」

 そんな中一人気を吐くのが、インターネット総合企業のDMMである。同社が展開する ロボットキャリア事業「DMM.make ROBOTS」では、ロボホンを販売ラインアップに加えるにあたって、購入者全員に2万5千円分のポイントを付与するほか、 同じく同社が手がける「DMM mobile」とセットで購入したユーザーには、さらに5000円分のポイントをプレゼントするキャンペーンも行う。他の販売店と比べても最大の還元率だ。

 同社のロボット事業本部長・岡本康広弘氏は、ロボホン販売について「高機能AIを搭載したヒューマノイド人型ロボット、スタイリッシュなデザインのみまもり・AIロボット、そして今回のモバイル型ロボット電話といったDMM.make ROBOTSのラインナップから考えて、今後どのようなコミュニケーションロボットが家庭に普及するかを探るためのひとつの指針となる」と期待を寄せる。

 国内ロボットビジネスは、2035年には約10兆円に達する見通しとされており、さまざまな企業がロボットの開発に取り組んでいるが、ロボホンの発売をきっかけに見えてきた市場の現状を俯瞰するにあたって、岡本氏が語るように、今はまだユーザニーズの掘り起こしの段階である、と言えるだろう。製販がどれだけ一体となって、ロボット市場の拡大が今後行われていくか。関係各社の「覚悟」が求められる。

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