脱北者団体「ドローンで北朝鮮に情報投下」計画

デイリーNKジャパン

脱北者団体「ドローンで北朝鮮に情報投下」計画

脱北者団体の代表が、無人飛行機ドローンを使って北朝鮮に情報を送り込む活動を始めたと明らかにした。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

政治犯収容所の撤廃を求めて活動するNGO「ノー・チェーン」のチョン・グァンイル代表は25日、ノルウェー・オスロで開かれた「オスロ自由フォーラム」の場で、ドローンを活用した計画を明らかにした。

文書や動画を保存した携帯電話用のSDカード、USBメモリーをドローンに搭載し、北朝鮮に上空から散布するというこのプロジェクトは米国の人権財団(HRF)の後援で、昨年から行われている。

SDカードやUSBメモリは、情報量が多く、サイズもコンパクトで、取り締まりの際にも隠しやすいというメリットがある。また、他人にあげることも簡単だ。

韓国の対北脱北者団体は、以前から風船にUSBメモリーやドル紙幣を括りつけて飛ばしていたが、どこに飛んで行くかは風まかせだった。しかし、ドローンなら飛行ルートや投下ポイントをGPSで指定できる。

同団体は、GPSを使って投下ポイントを設定した上で、ドローンを中朝国境から飛ばす手法を使っている。使用しているドローンは、高性能機種で、最大飛行距離は8キロだ。

東西の幅が最も小さいところでも180キロに及ぶ北朝鮮で、わずか8キロしか飛べないドローンを使うことは、一見意味のない行為に思われるが、そうでもない。

中朝国境沿い最大の都市である新義州(シニジュ)市ですら、市域はそれほど広くない。中国側からドローンを飛ばせば、市内のほぼ全域に投下が可能だ。新義州のみならず、満浦(マンポ)、恵山(ヘサン)などの中朝貿易の拠点、交通の要所に投下すれば、誰かの手を経て、内陸地方に運ばれることが期待できるというわけだ。

また、韓流ドラマのソフトを売る業者の手に渡れば、コピーされて大々的に流通されることも期待できる。

一方、このプロジェクトには、多額の予算が必要となるので、チョン代表は、支援を求めている。

チョン代表は、北朝鮮の貿易イルクン(職員)だったが、中国で韓国人に接触したことが国家安全保衛部(秘密警察)に発覚し、1999年に逮捕された。10ヶ月に及ぶ取り調べの過程で激しく拷問され、韓国のスパイであることを無理やり自白させられた。

その後は裁判も受けられないまま、2000年4月に咸鏡南道(ハムギョンナムド)の耀徳(ヨドク)にある収容所「15号管理所」に収監され、3年間服役した。1日16時間に及ぶ強制労働と、栄養失調に苦しめられたが、出所してから12日後に北朝鮮を脱出、2003年に韓国に入国した。

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