【永田町炎上】なぜ東京都民や横浜市民はタチの悪い知事ばかり選ぶのか (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

Photo by Photo AC(※写真はイメージです)
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【朝倉秀雄の永田町炎上】

■官僚出身の知事は不祥事が少ない

 昨年4月の統一地方選前半の知事選の結果、47名の知事のうち29名をキャリア官僚出身者が占めるようになった。実に62%の比率である。もっとも関東8都県に限れば、官僚出身者は茨城県の橋本昌知事たった1人しかいない。東京都にいたっては昭和54年4月から平成7年4月まで4期、16年間務めた元内閣官房副長官の鈴木俊一知事を最後に官僚出身者は誰もいない。要するに官僚出身の知事は都市部では少なく、どちらかといえば「地方」に集中しているわけだ。

 理由は簡単。地方では県内トップの進学高校を出て東大や京大に進み、難しい国家公務員I種試験(現在の「総合試験」)に合格し、中央省庁に採用されるような者は「地元の誉れ」であり、自分たちと同列の人間だとは考えず、ほとんどの有権者が尊敬の念さえ抱いているからだ。そうした人物を県のトップに戴くのはいわば自然の成りゆきだと言っていいだろう。

 自治体の首長というのは、政治家であると同時に地方行政庁の最高責任者でもあるから、何より行政手腕に優れていなければならないが、官僚は行政のプロであるから、まさに適任だと言っていいだろう。それに日本の官僚は「世界一優秀」と言われるくらい知的水準に恵まれ、何より国益・公益を重んじ、公私を峻別する習性が付いており、かつ遵法意識が高い。不祥事も少なく、政権も安定する。いずれも旧自治省出身の橋本茨城県、谷内正憲石川県両知事などはもはや6期目にも及ぶ。

 汚職も少ない。過去には竹内茨城県知事のようにゼネコン汚職で捕まるような不心得者もいないではなかったが、近頃、そんな人間は滅多にいない。かえって旧厚生省出身の元浅野史郎宮城県知事や旧建設省出身で、第一次安倍内閣や福田康夫内閣の総務大臣を務めた増田寛也元岩手県知事、旧自治省出身で、菅直人内閣の総務大臣に抜擢された片山義博元鳥取県知事のような行政手腕に選れ、識見の高い、優れた人物が多い。

■都会の有権者はなぜか問題児がお好き

 ところが都市部ではそうはいかない。メディアは誰に頼まれたわけでもないのに、「権力者を監視するのが我々の使命だ」などと称し、執拗に「官僚」を攻撃する。都会の有権者はそんなメディアから洪水のように発信される情報に触れる機会が多いから、知らず知らずのうちに「官僚嫌い」に「洗脳」されてしまう。しかも比較的高学歴な人間が多く、自分たちをいっぱしの「知識人」だと思い込んでいるから、官僚に対して対抗意識を剥き出しにし、「官僚」と聞いただけで「天下り」などを想い描き、常に「役人どもは民間の俺たちよりも甘い汁を吸い、いい思いをしてやがる」といった妄想を逞しくし、敵愾心を抱く。結果、政治的資質や行政手腕などはいっさい考えず、単に「知名度」があるという理由だけで、青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、横山ノック、黒岩祐治(神奈川県)、森田健作(千葉県)、橋下徹などといったモノ書きやニュース番組のキャスター・コメンテーター、お笑い芸人、俳優、タレント弁護士などといった連中に好感を抱き、票を投じる。つまり教養水準の低い田舎の人間のほうが自称「インテリ」のはずの都会人よりもかえって堅実な投票行動をするというわけだ。

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