労働者「大量生き埋め」事件も…金正恩「豪華住宅」政策の弊害 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

労働者「大量生き埋め」事件も…金正恩「豪華住宅」政策の弊害

北朝鮮の金正恩党委員長は、就任以来、肝いりで「大型建設事業」を進めてきた。その代表格といえば、2012年の「平壌10万戸住宅」や2015年の「未来科学者通り」の高層住宅だ。さらに今年2016年3月、金正恩氏は「米帝とその追随勢力との熾(し)烈な対決戦」とする「黎明通り」の建設を指示した。

トイレ使用不能で仕方なく…

すでに完成し、国営メディアに公開された「平壌10万戸住宅」や「未来科学者通り」の写真を見る限り、外観は確かに立派だ。しかしその実態がきわめてお粗末であることは、これまで伝えてきたとおりだ。

最も深刻なのが、電力問題。例えば、平壌ですら1日に何度も停電し、地方によってはまったく電気が来ないことも珍しくない。電力がなければエレベーターもポンプも動かない。ポンプが動かなければ水道も使えず、水洗トイレももちろん使えない。そのため高層階の住民の中には、信じられない方法で「トイレ問題」を解決する人々がいるという。

こうした事情を知ってから知らずか、金正恩氏は、5月に開催された朝鮮労働党第7回大会で「経済発展5ヵ年戦略」のスローガンをかかげ、今月1日から、またもや大増産運動「200日戦闘」を始めた。

建設現場で数百人が生き埋め?

デイリーNKは、北朝鮮の貿易会社が「黎明通り」の建設に必要な鋼材を中国から大量に輸入しているとの情報をキャッチ。中国の北朝鮮情報筋によると、金正恩氏自らが、建築資材を「忠誠で保障(確保)せよ」との指示を下したという。指示には「対北朝鮮制裁を、高層マンションが立ち並ぶ黎明通りの建設で打ち破ろう」という一節もある。

指示が下されるや、北朝鮮の各貿易会社では「鋼材輸入戦闘」が始まり、1000トン以上の鋼材が中国から輸入された。その一部をデイリーNKはとらえた。それが下の写真だ。

朝鮮中央通信によると、建設が始まったのが4月3日。北朝鮮は「速度戦」のスローガンをかかげて、2ヶ月足らずで数十棟の基礎掘削工事と、4棟の鉄骨の組立工事を終えたと報じた。しかし、無茶な速度戦は様々な弊害を生み出している。

建設現場では事故が多発。

「労働者「大量生き埋め」事件も…金正恩「豪華住宅」政策の弊害」のページです。デイリーニュースオンラインは、高英起デイリーNKエネルギーニューステレビ番組社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る