【プロ野球】自らが現役時代に証明?阪神ナインに浸透する”金本イズム” (1/2ページ)
「来なくてもいい! 大丈夫!」
阪神の若きエース・藤浪晋太郎が今季初完封勝利を挙げた6月2日、楽天イーグルス戦のことであった。
それまで6試合勝ち星のなかった藤浪は、気合のこもった投球で楽天打線を7回まで1安打無得点に封じていた。8回裏、先頭の代打・後藤光尊の打球が左太ももを直撃、香田勲男投手コーチとトレーナーが、あわてて藤浪の元へ駆け寄る。
しかし、藤浪は2人が来るのを大きなジェスチャーで制止、マウンドにすら近寄らせることはなかった。この一部始終を見ていた金本知憲監督がベンチでニンマリと微笑む。
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■「骨か? 肉か?」
今季、さまざまなメディアに登場する“金本イズム”という言葉。
この金本イズムを実践した出来事といえば、3月3日、ソフトバンクとのオープン戦を思い出す。
6回表、先頭打者の緒方凌介が、加治屋蓮の143キロのストレートを、右ヒザに受けたときのことだ。痛みで悶絶する緒方の元にすぐさま駆け寄った片岡篤史打撃コーチが、ベンチに向かって×(バツ)のサインを送る。
これを見て金本監督が緒方の元でささやく。
「骨か? 肉か?」
当たったのが骨ならば考えよう、肉ならば行け!
金本監督の問いかけの意味するところはこれだ。
金本監督が現役時代、左手を骨折しているにもかかわらず、右手一本でバットを振りぬき、ライト前に安打を放ったことを、緒方が知っていたかどうかはわからない。
しかし、金本流に言えば、あの時はまぎれもなく「骨」だったわけで、「肉」で行かない選択肢など、金本イズムには存在しないのだ。
もちろん緒方は「肉です!」と言い、プレーを続けた。