未婚の台湾女性総統を人格批判する習近平主席の”女性問題” (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 未婚者である蔡総統をしきりに攻撃する中共政府ですが、その頭目である習近平主席には数々の女性問題が噂されています。現在の中国のネット上では「洗禁評」(習主席の名前の当て字、言論弾圧を意味する)や「趙王回車」(パソコン音痴)など、習主席を皮肉る趣旨の言葉が次々と禁止用語になっているのですが、その中に「柯小明」というものがあります。

 現在の習主席の夫人は「彭麗媛」という人物ですが、実は1980年に柯小明という女性と結婚していたのです。当時、習主席は中国の人気歌手だった彭麗媛とすでに交際していたのですが、歌手という身分を嫌った習主席の父親が外交官の娘である柯小明との結婚を進めたと言われています。

 父親の指示通り柯小明と結婚した習主席ですが、結婚後も彭麗媛との交際を続けており、当時の習夫妻は喧嘩が絶えなかったそうです。結局二人は離婚し、87年に習主席は彭麗媛と再婚したのですが、中国国内ではこの事実は隠蔽され、習主席と彭麗媛のなれそめは知人の紹介であると公表されています。ちなみに柯小明には「柯玲玲」というあだ名があったのですが、現在はその言葉も禁止用語になっています。

 また、習主席が福建省の福州市市委書記を務めていたころ、「夢雪」という地元テレビ局の女性アナウンサーと交際していたのです。夢雪は既婚者であり、二人は完全な「不倫関係」でした。習主席は国家主席就任後、自身の不倫行為を隠すために夢雪側に圧力をかけ、もちろん彼女の名前は禁止用語となりました。2015年には香港の書籍関係者が次々と失踪するという「銅羅湾事件」が発生しましたが、失踪者たちが携わった書籍には習主席の過去の女性遍歴が赤裸々に記されていたのです。

 習主席の女性問題を棚に上げ、執拗に蔡総統の人格攻撃を繰り返す中共政府の態度を受け、多くの論調が中国国内で巻き上がっています。中国のネットを閲覧すると、「蔡総統には政治的スキャンダルがないため、短絡的な人格攻撃に走る」と蔡総統を擁護する台湾独立派からの言葉や、「様々な事情で結婚できない女性はたくさんいます。未婚だからといって差別するのは不愉快な話です」という独身女性からの抗議が書き込まれていました。さらに、「私は蔡英文の台湾独立政策には反対しているが、彼女に対する人格攻撃には感心しない」などと、台湾統一派からも中共政府に対し疑問を投げかける意見が寄せられていました。

 台湾の名門大学で法律学を学び欧米で博士号を取得した蔡英文総統は、若い頃から政治家になるという意思が強かったと思います。彼女に婚姻歴がない理由は「独身の方が政治活動を行いやすい」という理由かもしれません。一方習近平主席は政府の高官であった父親の権力を利用し、若い頃から数々の浮き名を流した過去があります。

 蔡総統の未婚が揶揄されている中国では、習主席の批判は絶対的なタブーとなっています。僕も今回のコラムを掲載したことにより、香港の書籍関係者と同じような目にあうかもしれません。どちらが一国の指導者としてふさわしい人物か、それは火を見るより明らかでしょう。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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