歌謡(うた)のマドンナ 石原詢子 怖いもの知らずで上京し、四畳半の部屋で味わった恐怖 「留守中に侵入者!? 下着を盗まれたことも…」 (2/3ページ)
お店に行ってみたら、怖そうな男の人がいっぱいいて『自分の曲なんか歌わなくていいから、一緒にデュエットをやれ』と言われることもしょっちゅうでした」
−−'95年に発売した『夕霧海峡』が20万枚を超える大ヒット。NHKの民謡番組や『お江戸でござる』にもレギュラー出演が決まり、知名度を上げていく。しかしその裏で、彼女を悲しい不幸が襲っていた。
「発売日を挟んだ3週間足らずの間に、病気で母と父が相次いで亡くなったんです。そばにいてあげられなかったのが本当に悔やまれました。両親が亡くなったことで、もう故郷には帰れない、自分の力で歌の世界で生きていかなければ…という覚悟ができて、必死でしたね。悲しみを振り切るようにキャンペーンに明け暮れました」
−−'99年に発売した『みれん酒』はNHK『お江戸でござる』のテーマソングとして毎週流れ、演歌チャートの上位をキープしてロングセラーとなり、30万枚を超える自身最大のヒット曲に。そして翌年、紅白歌合戦に念願の初出場が決まった。
「地元の役場に『池田町出身 歌手・石原詢子 紅白出場!』という横断幕が出て、本当にうれしかったですね。紅白本番のことは、実はまったく覚えてないんです(笑)。司会者に曲を紹介されて、左足で一歩踏み出したところまでは覚えてるんですけど、気が付いたら歌い終わって、緊張の糸が切れて涙腺が緩んでしまって…。あとでビデオを確認して『あ、ちゃんと歌ってる!』と胸をなでおろしたくらい(笑)。翌年から仕事の数も急に増えましたし、紅白の力ってすごいんだなと思いましたね」
−−四畳半の生活から紅白歌手にまで上り詰めた彼女。現在のオフの過ごし方は?
「近所に自転車で買い物や飲みに行ったり、温泉施設に行ったり…。私、行動範囲が狭いんです(笑)。温泉施設でお風呂に入っていたら、たまに『あなた、昨日テレビに出てたでしょ?』と言われて、あわてて身体を隠して『いえ違います!』と否定することもあります。何もスッポンポンの時に話しかけなくてもいいのに…(笑)。あと、ゴルフも好きですね。歌手仲間たちと話しながら、ストレスを発散できて楽しいです。