貴乃花親方「部屋移転騒動」の真相を激白!
沈黙を続けるアノ男が、ついに口を開いた。理事長選に敗れ、新天地で再起を図る。その胸中や、いかに!?
若貴フィーバーに兄弟横綱――。隆盛を極めた花田家の本拠地、東京・中野新橋の貴乃花部屋が6月末に江東区へと移転する。3月28日の日本相撲協会理事長選で、八角理事長(元横綱・北勝海・52)に惨敗して以降、動向をほとんど聞かなくなっていた貴乃花親方(元横綱・43)。久々のニュースだけに、業界では様々な憶測が飛んだ。「『週刊ポスト』6月10日号では、信頼していたタニマチとの関係が悪化したため、父の代から30年以上も根を下ろしている中野新橋を退去せざるをえなくなったと報じられました」(ベテラン相撲記者)
登記簿謄本によれば、「藤島部屋」(現・貴乃花部屋)が建てられたのは1982年5月。そして、遺産相続により、この部屋の建物が貴乃花親方の所有になったのが2005年5月。ところが、それから約2年半後、その所有権は高級分譲マンション販売会社A社へ。以来、貴乃花部屋はA社に賃貸料を支払って使っていた。
「週刊ポストによれば、そのA社のN会長は貴乃花親方のタニマチ。資金繰りに困った貴乃花親方のために、部屋の建物を購入し、以来、格安の賃貸料で貴乃花親方に貸し出していたが、両者の不仲ないし、N会長側の資金繰りの事情から出ていかざるをえなくなったと、におわせています。そこで、地価の安い江東区へ貴乃花部屋が“都落ち”するというわけです」(前同)
一時は相撲界トップにも手が届きそうだった貴乃花親方の身に、何が起きているというのか!? そこで、本誌は貴乃花親方本人に突撃取材を敢行。すると、返ってきたのは、意外な答えであった――。「不仲になどなっていません。今回の移転先に関しても(N会長は)協力してくれていたんですから」と、親方は開口一番、報道を完全否定。また、N会長の資金繰り事情を調査してみても、大手の企業信用調査会社のデータではA社はグループ年商120億円以上を誇る黒字。業績は決して悪くない。さらに、貴乃花親方はこう続ける。「そもそも先代(父)の助言により、私は引退時(03年1月)から両国近辺で部屋創設地を探していたんです。突然、出て行くことになったわけではありません」
ところが当時は、兄(元横綱・若乃花)との遺産相続問題などもあり、相撲部屋の引っ越しどころではなくなった。そうこうしているうちに、ズルズル今日まで……という具合。しかし、3月末の理事長選で敗れ、心機一転の思いを強くしたところに、ちょうどいい物件が見つかった。そこで、転居へと至ったのが真相のようだ。「先代が移転を勧めた一番の理由も、国技館の近くなら弟子の負担が少ないから。貴乃花一門の部屋も近所にあり、出稽古もやりやすい。何かと便利なんです。もちろん、貴乃花自身も稽古に励んだ地で、周囲の住民に育ててもらった恩もある中野新橋を去るのは忍びないという気持ちも強いことでしょう。しかし、すべては弟子のため。そして今後、自分が相撲界を背負っていくためにも、私情を捨て決断したんでしょう」(貴乃花親方に近い関係者)
江東区の新天地での始動は、7月の名古屋場所終了後になる見込みだが、6月7日には新しい土俵も完成。あとは、中野新橋の部屋から神棚を移すのみとなった。それにもかかわらず、部屋の移転先住所がいまだ公表されていないのは、何か事情があるのでは……!? この点も貴乃花親方に直撃すると、笑いながら、こんな答えが返ってきた。「消防法の規制クリア、建物の用途変更など、いろいろ行政の許可を得ないといけない手続きがありますが、まだ、それをすべてクリアできていない。完全にクリアしてから公表したいだけ。そのほうが縁起もいいですし。別に(転居先を)隠しているわけではありません」
この江東区の部屋は、賃貸ではなく、既存の建物を買い取り、改装したもの。その資金のため、東京都品川区内にある地下2階・地上2階の貴乃花親方の豪邸には、昨年9月に1億8000万円の根抵当権がついた。この事実を取っても、今回の転居が計画的なものであることは明らかだろう。ところで、前出の『週刊ポスト』をはじめ、一部メディアでは、貴乃花部屋で強い力士がなかなか育たないことも、転居の理由の一つに挙げている。
親方は相撲部屋に自宅も構え、弟子たちと寝食を共にするのが常識。ところが貴乃花親方は、品川区内の自宅からの“通い親方”。そのため、弟子に十分目が届かなかったという反省から、江東区の新部屋には自宅も併設し、住み込みで指導にあたるという話だ。ところが、これに関しても貴乃花親方は、「今もそうですが、以前から、ずっと住み込んでいますよ」と、笑いながら一蹴した。
また、“通い親方”同様、強い弟子が育たない理由として、貴乃花部屋独自の「サポーター制度」もヤリ玉に挙げられているが……。「ファンの支援で部屋を運営するサポーター制度のせいで、物心両面で部屋を支えていたタニマチと疎遠になり、タニマチ経由の若手スカウトがなくなってしまったとの意見もあります。しかし、先の理事長選で八角理事長の背後に政治家や複数の企業の名が出たように、タニマチは癒着、協会や部屋運営への介入など、負の部分も少なくないんです。サポーター制度は決して悪くありません」(前出の関係者)
そもそも貴乃花部屋に有望な若手があまり来ないのは、親方自らが一本釣りしないからだともいわれる。「熱心でないからではなく、“来てもらっても、もし挫折し、引退した場合、今の相撲界ではきちんと再就職を世話するシステムがない。それを思うと、親に私に任せてください、と胸を張って言えないから”と貴乃花親方は常々言っています。それでも現在、2人の関取がいます。部屋所属力士が12名しかいないことを思えば、その割合はなかなか優秀でしょう」(前同)
部屋頭はモンゴル出身の貴ノ岩(26・東前頭6枚目)。もう一人の佐藤(19・十両13枚目)は、先の5月場所で新十両になった。「佐藤は10代での関取昇進というスピード出世に加え、5月場所での11勝4敗という好成績も注目の的です。居反りなどの奇手を持つことから“ポスト舞の海”として人気の新十両・宇良にも黒星をつけ、新十両対決を制しました」(同)
その佐藤とともに、5月27日、高野山大学同窓会特別ゲストに招かれた貴乃花親方は、自身の弟子育成論をこう述べている。「弟子を一人でも多く強くさせて、日本の国技の相撲、相撲道に携わっていければと。この国のために弟子を育て、国の隅々まで役立ちたい思いでやらせてもらっています」 理事長は諦め、親方としての仕事に専念するという決意表明なのだろうか――。
だが、別の相撲関係者は次の一手の可能性を語る。「新たな貴乃花部屋の近くには、理事長選で貴乃花親方支持を表明した山響親方の部屋が移転してくるのでは、という話もあります」 そのせいか、貴乃花親方は引き続き警戒されている。「一部報道で、貴乃花親方が稽古総見や研修会などの協会行事を欠席したことを、職務放棄だと非難されています。相撲部屋移転についての批判的な記事も、理事長選と同様、貴乃花親方に対する“紙爆弾”が続いているのかもしれません。しかし、貴乃花親方が積極的に反論しないのは、しばらくは“死んだふり”のほうが得策との判断からでしょう」(同) 目立たず騒がず。新天地で虎視眈々と再起を狙う貴乃花親方。死んだふりから起き上がる日も、案外近いのかもしれない――。