世界の球聖・イチローの「ちょっと変な伝説」 その意外な素顔とは?

日刊大衆

世界の球聖・イチローの「ちょっと変な伝説」 その意外な素顔とは?

 振り子打法でMLBに渡った男が前人未到の偉業を達成。おかしな部分もまた彼の魅力。妙に人間臭い裏話を大公開!

 6月15日(日本時間16日)のパドレス戦で2安打を放ち、ついにピート・ローズの持つメジャーリーグ最多安打記録4256本を抜き去ったマイアミ・マーリンズのイチロー(42)。日本で10年メジャーで15年、計25年のプロ生活で積み重ねた日米通算安打は不滅の金字塔だ。日米合算の記録ゆえ、メジャーでは“参考記録”という扱いだが、マーリンズの打撃コーチでメジャー最多本塁打762本の記録を持つバリー・ボンズ氏が、「イチローは今でも“5ツール・プレーヤー(打率、パワー、スピード、守備、肩の強さを兼ね備えた選手)”。メジャー史上最高の選手の一人だよ」と絶賛するように、多くのレジェンドたちが祝福している。

「長いメジャーの歴史でも4000本以上ヒットを打ったのはローズとタイ・カッブ(4191本)の2人だけ。日米通算とはいえ、イチローの放った安打数の偉大さを、アメリカ人はよく分かってますよ。目前に迫ったメジャー通算3000安打をイチローが達成したら、ファンとメディアはお祭り騒ぎになるでしょうね」と言うのは、大リーグ研究家の福島良一氏。メジャー通算3000安打も、過去に29人しか達成していない偉大な記録。今や、世界のスーパースターになったイチローだが、「野球選手として相当変わったところがあるのも事実です。いわゆる体育会系ノリでなく、スポーツマンらしい豪放磊落さとも無縁。“アスリート”というより、“求道者”といったほうが近いかもしれません」(ベテラン野球記者)

 1991年、名門・愛工大名電高からドラフト4位でオリックスに入団。“振り子打法”を当時の土井正三監督以下、首脳陣に認めてもらえず苦労したが、94年、仰木彬監督が就任すると状況は一変した。「登録名を鈴木一朗からイチローに変えさせた仰木さんは、新井宏昌打撃コーチに、マンツーマンでイチローの振り子打法を完成させるよう命じたんです」(スポーツ紙デスク)

 この年、210安打を放ち、打率3割8分5厘で初の首位打者に輝いたイチローは、2000年まで7年連続で同タイトルを獲得。00年オフにポスティング制度を利用して、シアトル・マリナーズに移籍した。天才バッターと評されることの多いイチローだが、実は“努力の鬼”でもある。「パ・リーグの顔になったイチローは、オフに東京のテレビ局に呼ばれる機会も増えたんですが、“最終の新幹線で神戸に帰る”ことを唯一の出演条件にしていたんです。新幹線で新大阪に着くとタクシーに乗り、神戸のオリックス寮へ向かい、深夜の地下練習場でマシン相手に納得いくまでバッティング練習を繰り返したといいます」(スポーツ紙記者)

 01年、メジャー移籍1年目でア・リーグ首位打者。04年にはシスラーの持つシーズン最多安打数257を86年ぶりに更新。262本まで伸ばすと同時に2度目の首位打者に輝いている。イチローの数ある“ルーティン”のうち、最初に有名になったのはマリナーズの1年目にスタートした「朝カレー」の習慣だろう。元TBSアナウンサーで99年に結婚した7歳年上の弓子夫人の特製カレーを、イチローは約7年間、毎朝必ず食べていたというのだ。「面白いのは、イチローが特にカレーが好きなわけではないこと。朝、何を食べるか迷うと野球に集中できなくなるから、という理由でカレーになったんだそうです(笑)」(民放スポーツ局ディレクター) ちなみに現在の朝食は、「うどん、そば、パスタが多いそうです」(前同) 麺類が新記録を作った!?

 イチローは偏食でも有名で、「野菜が嫌いで、焼き肉が大好き。それは、今も変わってないようです」(同) 試合前の念入りな柔軟運動も、イチローのルーティンの一つで、「12年途中から14年まで在籍したヤンキース時代には、A・ロッドが試合前のコンディション作りをイチローに質問していたこともありました」(スポーツ紙メジャーリーグ担当記者)

 彼がこだわる鍛練法の一つが“初動負荷トレーニング”と呼ばれるもの。「運動の最初の動作時に負荷をかけることで俊敏性や柔軟性が増し、ケガをしにくい体を作ることができるそうです」(前同) 同名のマシンをオリックス時代から愛用。後に、同じマシンをヤンキースが導入したのは有名な話だ。野球に関してとことんストイックなイチローは、道具へのこだわりも人一倍。「バットとグラブはオリックス時代と同じ型のものを使っていますが、スパイクは昨シーズンから新しくなった。イチローは軽さだけでなく“足指の感覚”を重視しているんです。生地のわずかな緩みもプレーに影響するとして、4~5試合ごとに新しいスパイクに変えています」(前出の民放スポーツ局ディレクター)

 現在の試合前のルーティンも当然、決まっている。起床後、自宅の器具でトレーニングを行い、食事を摂ってからテレビを見て、しばしリラックス。「ナイターの場合は午後2時頃に球場入りし、クラブハウスでマッサージを受けてからウォーミングアップ。その後、持参のおにぎりを食べて小休止。試合開始の1時間前に『ユンケル黄帝液』を飲むのが、お約束だそうです」(前同)

 06年と09年のWBCで、「侍ジャパン」の連覇に貢献したイチローだが、06年の大会で代表監督を務めた王貞治氏は、WBC合宿の初日、集合時間が午前10時なのに、イチローが9時半にはグラウンドでバッティング練習をしている姿を見て感動したという。「ストレッチやランニング、準備運動をきちんとやる人だから、9時にはグラウンドに入っていたはず。あれほどの選手になっても、他人の倍は練習するんだから大したものです」(前出のベテラン記者)

 すさまじきストイックさ。若い頃と変わらない体型を維持しているが、それ以上に気遣うのが“ケガ”。「走塁では絶対にヘッドスライディングをしないし、補球時もスライディングキャッチはするものの、ダイビングはしません。ケガにつながりかねないリスキーなプレーを決してやらないクレバーさがあるんです」(前同)

 そんなイチローの唯一の息抜きと言えそうなのが、柴犬の愛犬・一弓と過ごすひとときだ。「夫妻の名前から一字ずつ取って“一弓”。13年に一弓に5匹の子犬が生まれたときは、長男のオス犬に、イチローを兄と慕うカブスの川﨑宗則にちなんで“宗朗”と名づけたそうです」(スポーツ紙デスク)

 英語はペラペラのイチローだが、実はスペイン語も堪能で、ラテン系の選手とスペイン語でコミュニケーションを取ることも、しばしばだという。「マーリンズは、選手もフロントもラテン系が多く、イチローに対するリスペクトが感じられる球団なので居心地がいいと思いますよ。最近のメジャーは150キロを軽く超える速球派の投手が多いんですが、今年のイチローは速球に力負けせず、ライト方向に引っ張るバッティングができている。全盛期に戻った感じすらあるイチローを見ていると、彼が希望する“50歳まで現役”も夢じゃないかもしれません」(前出の福島氏) 前人未踏の道のりは、まだ終わらない。

「世界の球聖・イチローの「ちょっと変な伝説」 その意外な素顔とは?」のページです。デイリーニュースオンラインは、スポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る