上司や仕事相手の1分は1万円!時間を無駄にしないための考え方

Suzie(スージー)

上司や仕事相手の1分は1万円!時間を無駄にしないための考え方

『伝説の秘書が教える「NO」と言わない仕事術』(フラナガン裕美子著、幻冬舎)の著者は20年以上にわたり、銀行や証券会社などの外資系企業と日本企業の双方で活躍するエグゼクティブたちの秘書を務めてきたという人物。

「外資系エグゼクティブの秘書」というと、なんだかすごい人というようなイメージがありますが、実際にはドラマのような難題珍問題の連続。毎日が上司や仕事相手との真剣勝負だったといいます。

事実、仕事をはじめたころは、パワハラで胃が切れたり、1円ハゲができてしまったり、失敗して怒鳴られることもしばしばだったとか。

しかしそんななかでいつも思っていたのは、「どうせ働くのであれば、少しでも楽にストレスなく働きたい」ということ。そして工夫を重ね、ちょっとでも毎日が楽になるような働き方を探してきたというのです。

つまり本書では、そうやって身につけた「ちょっとしたコツ」を明かしているわけです。きょうはそのなかから、「時間」についての考え方を抜き出してみたいと思います。

■長時間プレゼンをしてはいけない!

ダラダラした説明や、無意味に長いプレゼンテーションがあるものです。

しかし当然ながらどちらも、相手をイライラさせるだけ。それどころか、「結局、要点はなんなのか?」と問い返されることになる場合もあるかもしれません。

しかも、罪はそれだけではないと著者は指摘します。なぜならそれらは結果的に、相手の貴重な時間を無駄づかいしていることになるから。

上司や仕事相手の「1分いくら」の時間が、ただ長いだけの説明の間にどんどん失われていくということです。

■1分1万円の時間が10分も無駄に

著者も実際、厳しいことで有名な上司からこういわれたことがあるのだそうです。

「君はいま、1分1万円の私の時間を10分も無駄にしたのだ。いったいどうやって補填するんだ?」

そのとき著者は、上司からの予想外の質問に答えられず、手元の資料を見ながらつっかえつつ説明したのだとか。そのため余計な時間がかかってしまい、批判されたというわけです。

どこのオフィスにもありそうな光景であるだけに、他人事とは思えない部分があるのではないでしょうか?

■上司も自分の「お客様」と同じ存在

しかし、だからこそ、上司も自分のお客様だと考えるべきだと著者は主張しています。いうまでもなく、お客様は自分に利益をもたらしてくれる存在。

つまり、その大切なお客様の時間はお金のようなもの。粗末に扱えば、立派な時間泥棒だというのです。

なぜなら、部下たちが無駄づかいしてしまったその時間で、彼らはさらなる利益を生み出したり、会社を守ったりすることができるから。

著者に厳しい言葉を投げかけた上司がいったとおり、どうやってもその時間は補填できないわけです。

■時間の無駄遣いをなくすためには?

そんな考えがあるからこそ、上司を含めたお客様と接するときには、必ず「相手の時間=お金」と思わなければいけないと著者は記しています。

そして、決して無駄遣いをしないように、次のことに注意する必要があるともいいます。

(1)常に話は短く要点のみ

(2)話をする前に、相手からくる質問を想定して準備しておく

(3)上司やお客様の時間=お金が減れば、自分の利益も減ると心得る

相手の時間を大切にするクセがつけば、自分の時間に対する考え方も変わると著者はいいます。そして、時間を無駄づかいしないクセは、仕事においてもプライベートにおいても、必ずプラスにつながるものだと断言しています。

■1分1万円はワンランク上の考え方

「1分1万円の私の時間を10分も無駄にした」などといわれたとしたら、「なんてひどいいいかたをするんだ」「パワハラだ」などと考えてしまっても不思議ではありません。

しかし、著者はそんなふうに受け止めず、ワンランク上の考え方をしていることがわかります。その客観性があるからこそ、伝説の秘書として外資系エグゼクティブたちからの信頼を勝ち取ることができたのでしょう。

著者は、仕事をロールプレイングゲームのようなものだと考えるべきだと主張しています。毎日新しい「お題」が与えられ、それを自分の知恵と経験によって乗り切り、最後にはステージクリアするというようなイメージ。

そう考えると、日々の仕事場で苦手だと思っていたことも、ちょっと楽しいチャレンジに変わるというのです。

だからこそ、本書も自分のためのロールプレイングゲームのマニュアル感覚で読んでほしいのだといいます。

著者自身が、ここに書かれている方法によって、「常にベストなレベル」を求めるモンスター上司たちからサバイバルしてきたというだけあって説得力抜群。成果は実証済みだということですから、きっと応用することができるはずです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

【参考】

※フラナガン裕美子(2016)『伝説の秘書が教える「NO」と言わない仕事術』幻冬舎

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