八百万の神がポケモンGOを作った?中国人が語る”日本のコンテンツ力”
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こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
2016年7月22日、日本でアプリゲーム「ポケモンGO」の配信が開始されました。このゲームはAR(拡張技術)を利用したもので、「現実世界にポケモンが現れる」というライブ感が人気となり、現在世界的なブームを巻き起こしています。
■中国でも大ヒットを記録したポケモン
僕もポケモンGOが配信された後、さっそくダウンロードしてゲームを開始しました。実際にプレイしてみると、友人と一緒にポケモンを探すといった昆虫採集のような魅力があり、つい童心に帰って夢中になってしまいました。このポケモンGOの母体となった「ポケットモンスター」は、日本では1996年に発売されたゲームで、その数年後には中国でも大ヒットを記録しました。今でも「ピカチュウ」をはじめとするポケモンのキャラは中国では大人気で、偽造商品も多く発売されています。僕は発売から20年が経過した商品がいまだに人気を博している現状を見て、あらためて日本のコンテンツの底力を思い知ったのです。
日本のコンテンツ・パワーを感じた例は他にもあります。16年7月24日、僕は幕張メッセで開催された「ワンダーフェスティバル」というフィギュア、キットの即売会に参加したのですが、当日は満員だった京葉線が幕張メッセの最寄り駅である海浜幕張駅に到着したとたん、ガラガラになったことが印象的でした。フィギュアの即売会というと、主な顧客はいわゆるオタク層ばかりだと想像される方もいるかもしれませんが、実際には家族連れなど一般的な層も数多く参加していました。
2500円と決して安くない入場料にも関わらず、会場前には長蛇の列が発生していました。実際に入場してみると、アニメやゲームのキャラ、戦車や戦闘機といったミリタリー系など多種多様なフィギュアやキットが販売されていました。中にはグロテスクなクリーチャーや露出度の高い女性キャラといったものも販売され、僕は「欧米ならリベラル派の圧力で販売できないだろうな」と、妙な関心を覚えました。他にもプロの漫画家によるサイン会、声優による歌のステージも開催され、会場は大いに盛り上がっていました。僕はイベントを満喫して自宅へと帰りました。
■日本の風土が素晴らしいコンテンツを生み出す
これらの例を見ればわかるように、日本発のコンテンツは国内外に多大な影響を与えています。ポケモンのようにデフォルメされたキャラ、「萌え絵」といったスタイルは日本独特の発想です。とあるネットのサイトには、「ポケモンのキャラは『八百万の神』」という考察が紹介されていましたが、その通り、日本古来の神道から生まれたアミニズム(全てのものに魂が宿るという考え)、諸外国の文化を取り入れて自国の文化にしてしまうという柔軟な体制が、日本の自由な表現力を育んだと思います。このあたりの詳細は16年7月31日に発売した僕の新刊『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)にも記しましたので、興味を持たれた方は一読お願いします。
民進党・日本共産党をはじめとする日本の各野党議員、あるいはSEALDsなどの市民団体の集会に参加する人々は、平均所得の低下などを理由として口々に「日本衰退論」を唱えます。彼らは時に外国を引き合いに出して日本を卑下しますが、彼らもポケモンGOの大ヒットやワンダーフェスティバルの盛況を見れば、日本はとてつもない潜在能力を秘めていること、世界が日本のコンテンツを羨望していることが理解できるでしょう。本来「左翼」とは、「自国のために革新的な意見を述べる人」のことですが、僕は日本の「サヨク」たちは「日本を貶めたい人々」という印象があります。
事故が発生するなど、危険性も取りざたされているポケモンGOですが、「自閉症児が社交的になった」、「小児病棟の子供たちが元気になった」など、海外からは明るい話題も報告されています。2008年に麻生太郎氏(75)が首相に就任した際、「国立メディア芸術総合センター」設立を提唱するなど、日本の漫画やアニメを世界にアピールする政策を行っていました。僕は日本政府が麻生元首相の政策を踏襲し、積極的に海外に配信すれば経済回復の大きなきっかけになると思います。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。
(構成/亀谷哲弘)