責任は病床の谷垣氏に丸投げ?自民党・石原伸晃の特異なポジション|プチ鹿島コラム

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東京都知事選ではゴタゴタの対応を見せた自民党都連(写真は東京都庁)
東京都知事選ではゴタゴタの対応を見せた自民党都連(写真は東京都庁)

 石原伸晃はどうしてああなのか。少し考えたい。都知事選の2日後だ。自民党推薦の増田寛也氏が敗北した問題に関して伸晃氏はこう述べた。「知事選は党本部マター。お金も都連でなく党本部が集めたのであり、責任者は幹事長だ」。

 どうしてそういうことを言ってしまうのだろう。いや、党本部マターというのは本当なのかもしれない。でもここで都連会長が人のせいにしたらどう考えても株を下げる。そんな想像がはたらかない不思議。

 都知事選の責任の取り方でいうなら、91年にも同様の件があった。あのとき自民党の都連は現職の鈴木俊一を推したが、党本部は元NHKキャスターの磯村尚徳を推した。その結果、磯村氏は惨敗。マスコミ&世論は「さぁ小沢一郎幹事長、どうする?」とニヤニヤしかけた。しかし小沢一郎はあっさり辞任してしまった。

 あのときの「なんだ辞めちゃうのか……」という拍子抜けしたムードを覚えている。マスコミは少し寂しそうだった。それに比べると今回の伸晃の期待通りの間の悪さぶり。辞めたあともズルズルと評価を下げ続けている稀有な例。

 谷垣幹事長の名前を出したのもいけない。谷垣氏はいま自転車事故で入院中だ。ここで谷垣氏のせいにしたら世間はいっそうドン引きするという感覚は伸晃氏に無かったのだろうか。思いやりというより、庶民ウケしないとなぜ判断できなかったのか。不思議だ。話はこれだけではなかった。

 4日、自民党の党本部で伸晃氏は記者団に「党本部マターで谷垣幹事長の責任」発言について聞かれてこう答えた。

「そんな話してません」

 そして、都知事選で勝利した小池百合子氏や応援した議員の処分はどうなるのかと聞かれ、

「これは党本部マター。党本部の党紀委員会ができた後の話になると思う」

「党マター」、今年の残念流行語ノミネートの匂いがプンプンする。

 それにしても定期的に失言をポロリとする石原伸晃。その昔、芸能人の水泳大会では「ポロリ要員」がいた。騎馬戦になると必ずおっぱいポロリする人がいたのである。主役クラスではなく、ポロリしそうな人がやっぱりポロリする。見慣れてしまうととくに驚かない。

 石原伸晃は政界のポロリ要員である。センターに立つのは無理そう。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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