​就活で使える! チェス・将棋から学ぶ「戦略的思考」のコツ【学生記者】

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こんにちちは! 早稲田大学の慶です。
近年、就活やビジネスの現場では「戦略的思考」が必要だといわれていることを聞いたことがありますか? 僕自身も就活がじりじりと迫っている大学3年生。就活情報サイトなどでも「戦略的思考」「論理思考力」などという言葉が頻繁に使われているのを目にします。そこで今回は「戦略的思考」について、チェスを指すときの考え方や、将棋の棋士が考えていることをもとに自分なりに考察してみます。

■戦術(タクティクス)と戦略(ポジション)

僕は昨年9月からドイツに留学していて、ドイツ人に限らず多様な国からの学生と関わりを持っています。さまざまな国籍の学生が集まる中、トランプを取り出し「大富豪やろうよ」や「ババ抜きは?」と提案しても、もちろんゲームのルールを知っている人がおらず……。そこで、これならどの国から来た人でもできるのではないか……とトランプの代わりに持ち出したのがきっかけで、チェスを指すようになりました。今は、夕方にルームメイトと会話しながらよくチェスを指しています。

チェスでは、一手を考える際に戦術と戦略の二通りを考えます。「戦術」というのは、短期的に相手よりも優位に立つために駒を取らせたり、次に指す手を強要したりという技術的なプレーです。一方「戦略」という考え方は、より長期的な目線で、自分のキングを安全にし、相手よりも有利な陣形を作ることだと言われています。

強いプレイヤーは、この二通りの技術を巧みに駆使し、短期的にも長期的にも自分に有利な局面を作り出すことができます。グランドマスター(トッププロ)にもなると、片方が圧倒的な勝利を収めるというケースは少なく、戦略によって相手のキングを徐々に追い詰めてくなど、戦術によって生まれたわずかな差をキープして勝つという拮抗した試合になります。したがって、何か一つでもミスをしてしまうと、その差を守られ負けてしまうという世界です。それを防ぐためにグランドマスターは日々、いくつもの試合を検討し、手を読み、定跡を研究しています。チェスは世界中に多くのプレイヤーがいるため、世界一になるためには、それこそ卓越した思考力や知識量、決断力が必要になります。

■長期的な思考力が勝負を分ける

少し逸れてしまいましたが、グランドマスターは、「アマチュアとプロでは、長期的な目線でゲームを有利に持って行く「戦略」の思考が大きく異なっている」と述べています。これが物語っているのは、格言的に言えば、長期的な考えを鍛えることが勝負を分けるということです。

チェスや将棋はある程度経験を積まなければこの考えを鍛えるのは難しいといわれています。また日常においても、その時の利益だけでなく将来を見据えた「最善の一手」を選択するのはなかなかできないでしょう。先に起こるケースをある程度予想し、それに対して最善策を考えるということを日頃から意識することが「戦略的思考」の入り口になるのではないでしょうか。

■10手先を読む


さて、では将棋やチェスのプロフェッショナルは完全に先が読めているのでしょうか? 将棋において、一人で七冠という空前絶後の偉業を達成した羽生善治さんは、著書「決断力」の中で、「10手先を読むことはできない」と述べています。自分が指す手に対して、相手が予想通りの動きをするケースは少なく、相手の予想外の手を見て、それに対して最善の手を打つという考えが一般的であると言っています。

将棋やチェスは一対一の勝負の世界であり、妥協を許すと相手に踏み込まれて負けてしまいます。プロ棋士は勝ち続けなければ生き残れないシビアな世界に生きているので、彼らからはとても説得力のある「戦略的思考」を学ぶことができます。

現実世界においても、先を完全に予想することは困難であり、不可能といっても過言ではありません。しかしながら、先を完全に見通すことはできなくても、その時の「最善の手」を考えることは、常に意識していていくべきことだと思います。そんな意識を持っていれば、就活を終えて社会に出ても活躍できる社会人になれそうですよね。

<大学生のまずこれステップ>
1.自分がすることは、「長期的に」いい結果をもたらすか? 一度立ち止まって考えてみる!
2.行動や決断で得られる結果をある程度予測してみる!
3.その上で、今できる「最善の一手」を選択する!

文・慶

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