エンタメ作家・冲方丁の"DV疑惑"に隠された思惑(1) (2/3ページ)

東京ブレイキングニュース

自由を奪われ、警察で取り調べを受けたり、検察に送られたり。情報が遮断された中での留置場での日々を過ごし、処分保留で釈放された。10月に不起訴になると、早速彼は年内のうちに集英社の『週刊プレイボーイ』で、留置場での様子を手記として連載を開始した。

 連載の第1回目で彼は、長年連れ添ってきた妻との、どこの家庭にもあるごくありふれた衝突の理由について記していた。逮捕の前日一緒にランチをして生活や仕事の状況を確認し合うといった話し合いをしたこと、保育園へ子どもを迎えに行く途中、彼の仕事場のマンションの前で立ち話をしたこと。妻を殴ったという容疑については「相手の顔を殴るには、手にした荷物を捨て、自転車の前部に設置されたシート越しに手を伸ばさなねばなりません。物理的に不可能とまではいいませんが、私と彼女の間に障害物があったことは確かなのです」と明確に否定している。

 トークイベントが開催されると聞いたとき、私は期待した。事件発生から1年経ったことで、事件当時の夫婦関係や事件発生当時のアリバイといったものについて、連載時よりもさらに踏み込んで話してくれるかもしれない。私の読み通り、虚偽告訴による逮捕だということを何か示唆するような発言があるのかもしれないと。

■イベントで語られたこと

 午後7時半、イベントがスタートする。冲方さんの他に彼と非常に仲の良い司会役のライター、そして彼の弁護を担当したまだ30代といった感じの若い弁護士が二人登壇した。

 わかりやすくそして冷静な文章とは違って、冲方さんは非常にエモーショナルな語り口で、事件について語っていった。

「腹立ちますよ。よっぽどたまってるんだなって思います。今やもう渋谷署のウォッチャーですからね。何か不祥事がないかと思いますよ」

 そう言って、警察への怒りを表明し、警察、検察、裁判所の不条理について、そのやり口を述べていった。イベントの途中、冲方さんは変なテンションで一人、ウケていることが多々あった。

「(留置所内で着るねずみ色のトレーナーの上下に)留QLOって書いてあるんですよ、笑」

 そうした話に興味のない私は、爆笑の渦といった様子の会場で、「言わなあかんことは、それちゃうやろ」と一人でつぶやいていた。

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