真実は隠されている?中国人が語る”日本メディア”の情報隠蔽

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中国人漫画家から見た日本メディアの隠蔽体質 (C)孫向文/大洋図書
中国人漫画家から見た日本メディアの隠蔽体質 (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年8月18日、『NHKニュース7』内で放送された「子供の貧困」特集において、貧困に悩む女子高生が紹介されました。

 報道によると、女子高生は母子家庭で満足な収入が得られず専門学校に進学することを断念したとのことですが、番組中に映し出された彼女の部屋には大量の漫画・アニメのキャラグッズや1万円を越える製図画材が並べられ、Twitterのアカウントを調べるとコンサートや映画鑑賞にひんぱんに出かけていることが明らかになったのです。

 現在も「ヤラセ」疑惑が取りざたされていますが、今回の件に限らず、僕は日本のメディア報道は全面的に信用できないと思います。

■日本のメディアは事実を隠蔽している

 2011年に中国・温州市で高速鉄道の脱線事故が発生した際、中国のメディアは事実を隠蔽するために数々の情報統制を行いました。一方、日本のメディアは事件の詳細を詳しく報道していたため、当時中国のネット上に公開された日本のメディア情報を閲覧していた僕は、「さすが民主国家だ!」とおおいに感心したものです。

 しかし、訪日後の15年に発生した天津市の危険物倉庫爆発事故の際、日本では中国側が隠蔽した数々の問題が全く報道されなかったのです。僕がTwitter上で香港や台湾、欧米のメディア報道を日本語訳し紹介したところ、連日300人程度フォロワーが増加したのです。

 つまり、多くの日本人が自国のメディアが「真実」を報道していないと感じていたのでしょう。この件の詳細は拙著『中国人が見た ここが変だよ日本人』(青林堂)に記述しています。

 天津市の事故以外にも、日本のメディアが意図的に情報を隠蔽していると思われる事例がいくつか存在します。2013年の「中国環球時報」の報道によると、同年3月に行われた韓国の雑誌『月刊朝鮮』のインタビュー上において、日本の安倍晋三首相が「日本は核兵器を使用しない。竹島問題で武力を行使しない」と明言したそうです。

 また「もし私が右派なら、世界中が右派国家になってしまう」と答えたそうで、中共政府の機関紙である環球時報は「安倍首相は嘘をついている」という見解を示しましたが、僕は安倍首相の主張は全くの真実だと思います。しかし、安倍首相を右派と報道する日本のメディアは多く、もし、このような事実を報道すればただちに虚像は崩壊してしまいます。そのため、このインタビューは報道されないのだと思います。

■韓国側には安保法案改正に賛成している声もある

 他にも中共機関メディアの『鳳凰衛視』(フェニックステレビ)が、韓国の政治学者・金珍鎬に日本の安保法案改正についての見解を求めたところ、金氏は「韓国には安保法案改正に反対する層も多いが、賛成する層も多い」、「安保改正は日米韓同盟に対し有効な手段となる」、「韓国より日本の方が、反対派が多い」と答えたそうです。

 金氏のいう通り、安保法案改正による集団的自衛権は日本の防衛力を大きく高める法案です。日本・アメリカ・韓国三ヶ国による軍事同盟の構築を中国側は強く警戒しているため、韓国側の見解を客観的に報道したのでしょう。

 一方、日本の大半のメディアは「韓国側は安保法案改正に反対している」と一面的な報道を行っていますが、冷静に考えてみると北朝鮮など周辺諸国の脅威にさらされている韓国にとって、強力な軍事支援が見込める集団的自衛権は好都合な法案なのです。僕は日本のメディアは韓国の反対意見のみを紹介するのではなく、国防的な観点から重要なパートナーになるかもしれないという事実を報道するべきだと思います。

 中国のことわざに「自分だけでは気がつかないこともある」という意味の「鶏は自分の背中を知らない」というものがあります。情報とは相対的なもので報道する立場によって大きく変わるものです。僕は日本のみなさんには国内だけではなく、欧米や香港・台湾、あるいは中国や韓国など世界中のメディア情報を知り、幅広い視野を持つことをおすすめします。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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