天才テリー伊藤対談「天龍源一郎」(4)昔のレスラーって怪物みたいだった (1/2ページ)
テリー 昨年、ついに引退されたわけですけれど、あらためてプロレス人生を振り返ってみて、いかがですか?
天龍 ひと言で言えば、「お腹いっぱいやらせてもらった」ですね。昨年11月に引退興行をやったんですけど、娘が「両国国技館でやろう」って言いだして、それを聞いた俺は「両国なんて1万人も入るんだぞ、そんな金がどこにあるんだ!」と(笑)。
テリー ハハハ、天龍さんのほうがビビりましたか!
天龍 そうなんです。でも、女房と娘に押し切られて。蓋を開けたら前売り券が1カ月前に完売して、試合内容も評判よくてね。そういう場を最後に用意してもらったので、「たとえ明日起きてこなくても、天龍源一郎は何も悔いはないから、盛大にパーッとやってくれればいい」という気分になりましたね。
テリー もういつ死んでもいい、と。
天龍 そうです。だから今では、女房や娘に頭が上がらない(笑)。
テリー ただ、天龍さんも引退されて、カリスマ性のあるレスラーが少なくなりましたね。
天龍 俺たちは「プロレスラーとはかくあるべし」というイメージを背負って戦っていたところがありますけど、今はプロレスラーのほうがファンに迎合しちゃっているようなところもありますから。
テリー エンターテインメントですから、しかたがない部分もありますけどね。
天龍 でも、みんな同じことをやっていたら特異性はないわけで。他では観られないことをやっているから、みんなが金を払って観に来てくれるということを、もう少し意識したほうがいいとは思いますね。冗談でよく言うんですけれど、「今のプロレスよりシルク・ドゥ・ソレイユのほうがすごいよ」って思う時がありますから。もっと、「すごいヤツらがすごいものを見せてる」という感じにならないとね。