【永田町炎上】脛に傷を持つ小池百合子が「都政改革」とは片腹痛い (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■「都政改革」よりも小池の「自己改革」だ

 筆者の17年の政策秘書経験から言わせれば、カネにきれいな政治家など一人もいない。叩けば必ず埃が出る。御多分に漏れず、小池にも常に「政治とカネ」を巡る数々の疑惑がつきまとっている。

 8月24日付の『日刊ゲンダイ』によれば、小池の資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」は平成24年9月に自民党の梶山弘志衆議院議員が開いた政治資金パーティで会費を払った際、受け取った宛名を金額も空欄のまま余白に金額を記し、会計責任者の印を押しただけの領収書を受け取り、そのまま政治資金収支報告書に添付して提出したのだという。これでは収支報告書に記載された金額の正確性は担保できまい。

 それだけではない。7月3日の『産経新聞』の取材で小池が代表を務める政党支部が支援者の所有するビルの一室を相場の約27万円の半額程度の月15万円で貸借。敷金や礼金は払った形跡はないという。もしそれが事実なら相場との差額は家賃だけで年約144万円。敷金や礼金の免除額を加えると一つの政治団体に対する献金の年間上限額の150万円を超えてしまう。相場との差額は政治資金規正法上は「寄付」に当たる。当然、政治資金収支報告書に記載する必要はあるが、それがないというのだから、規正法の「不記載罪」に該当する可能性も出てくる。

 そもそも小池の「政治とカネ」を巡る疑惑は平成19年にまで遡る。同年8月4日の『しんぶん赤旗』は環境相時代の平成17年のいわゆる「郵政選挙」の公示の4日前の同年8月26日、小池が代表を務める「自民党東京都第10支部」が環境省主催の国際シンポジウムの開催業務を5460万円の「随意契約」で受注した「コングレ」なる会社から100万円を受け取ったと報じている。ちなみに公職選挙法第200条は「特定寄附の禁止」しては「国と請負契約を結ぶ個人や企業は国政選挙に関して寄附をしてはならず、政治家側も要求してはならない」と定めており、違反して受け取った場合は3年以下の禁錮または50万以下の罰金に処される。当時、小池は「コングレから100万円を頂戴したことは事実だが、環境省が随意契約をしている企業であることは承知していなかった」などと宣っているが、所管大臣の身でそんな言い訳は通用しない。

 何よりキナ臭いのは『週刊新潮』が指摘するように、小池の金庫番にして同居人の永田某なる人物がよりにもよって小池の当選が確定した翌日の8月1日、小池と共有する彼女の練馬の自宅などを共同担保として東京都の「指定金融機関」である「みずほ銀行」に3億3000万円を枠とする根柢当権を設定させ、不可解にも同日に解除していることだろう。これは永田が都知事の権力を背景に小池の了解を得て「みずほ」に便宜を図らせたと捉えられても仕方があるまい。設定の同日に解除したのは、あるいは「これはヤバイ!」と気づいたからではあるまいか。いずれにせよ都民の目には何やら胡散臭げに映ることは間違いない。いま、小池に求められるのは「都政改革」などではなく、「自己改革」と疑惑に対する説明責任だ。

文・朝倉秀雄(あさくらひでお)
※ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中。
「【永田町炎上】脛に傷を持つ小池百合子が「都政改革」とは片腹痛い」のページです。デイリーニュースオンラインは、都政改革小池百合子政治社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧