見所もオチもなし?佐藤健の映画『何者』がまさかの”ジリ貧”なワケ

デイリーニュースオンライン

映画『何者』公式サイトより
映画『何者』公式サイトより

 10月15日から公開した佐藤健(27)が主演をつとめる映画『何者』の評価がイマイチだ。若手の人気キャストが勢揃いし、全国296館で大々的に公開されているものの、「何を伝えたいのか全く分かりません」などと低評価が相次いでいる。

■旬のキャスト勢揃いも…低評価相次ぐスタート

 同作は小説家・朝井リョウ(27)の直木賞受賞作の映画化作品。就職活動を目的に「就職対策本部」で集まる5人の若者たちの人間関係を描く。

 出演キャストは佐藤、有村架純(23)、菅田将暉(23)、二階堂ふみ(22)、岡田将生(27)、山田孝之(32)など若手の実力派俳優・女優が勢揃い。公開前には、一部ファンの間で「直木賞受賞作なら間違いない」という論調もあった。

 ところが公開するや否や、映画評価サイトやSNSで低評価が相次ぐ事態に。「何を伝えたいのか全く分かりません」「見所も、オチもなく、最後までずーっと平坦」「若者達の自分探しごっこ」と批判が多い。ただし「就活の苦しみとかを味わってないと物語の繊細さがわからない」と反論する人も少なくない。

「評価の悪かった映画『テラフォーマーズ』も豪華キャストが出演していました。お客さんも目が肥えていて、まず作品として成立していないと批判の対象になる傾向です。人気俳優たちを前面に押し出すだけで売れるような、甘い時代ではなくなっているようです」(映画ライター)

 一方で好調をキープしているのがアニメ映画『君の名は。』だ。10月16日時点で興行収入が154億円に達したことが発表されており、200億円の大台も視野に入ってきた。また映画『聲の形』(9月17日公開)も、121館とやや小ぢんまりとした公開規模で10億円を突破するなど健闘中だ。

 7月公開の特撮映画『シン・ゴジラ』は今なお上映され、70億円を突破。『君の名は。』とともにリピーターが多い。

「未知の生物が日本に上陸して暴れる。男女の恋愛。コミュニケーションやイジメの問題。最近好調なアニメや特撮モノは、細かい設定や観客が予想できない意外なストーリー展開などの土台に、分かりやすさがあります。『何者』のように現代の社会問題を扱うような題材は、明確なゴールがない分、映画化されるにあたって内容が圧縮されるとストーリーが複雑になったりアッサリしたりして、原作の味わいが消えてしまいがち。2010年に映画化された『ノルウェイの森』が顕著な例です。『何者』もその土壺にはまってしまったのでは」(前出・映画ライター)

 15日の公開日から2日間で1億8200万円の興行収入を記録した『何者』。ネット上に寄せられる低評価の数々をはねのけ、10億円、20億円と記録を伸ばせるのか……?

文・阿蘭澄史(あらん・すみし)
※1974年滋賀県出身。フリー記者。某在京スポーツ紙の契約記者を経て、現在は週刊誌等で活躍中。主な著書に『真相!アイドル流出事件簿』(ミリオン出版)、『事務所をクビになった芸能人』(竹書房)、『芸能人のタブー』(宙出版)など。
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