元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(8)無難で似た番組が増えたが… (1/2ページ)

アサ芸プラス

元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(8)無難で似た番組が増えたが…

「24時間」を通じて、日本テレビを引っ張るディレクターたちに強い仲間意識が植え付けられる。助け合いながらチャレンジする──制作サイドも、まるで「24時間」の精神を体現するがごときなのだ(笑)。

 翌年に、前年総合演出だった人間が「演出担当」の一人として、新しい総合演出の下で携わることもよくある。私も04年の翌年は1回お休みさせてもらったが、06年には「世界一受けたい授業」を担当する後輩の総合演出を、「演出」としてサポートさせてもらった。

 この「24時間テレビ」を通じて展開されるディレクター陣の濃密な共同作業によって、まずは日本テレビの視聴率を取るノウハウが共有される。それと同時に強い「一体感」が生まれるのだ。これはディレクターだけではない。「24時間」制作を通じて、タレント事務所と向き合うプロデューサーたちも同様に、総合プロデューサーの下で同じように経験を積んでいくのだ。

 私は独立して以来、各局で仕事をしているが、この「一体感」は日本テレビが圧倒的であると感じている。他局では「抜け駆け」して「出し抜いて」「一発当てて」スタープロデューサーになりたいという風潮を感じることがある。日テレの人間にも当然そういう部分はあるし、テレビマンたる者あって当然なのだが、何かの折には「一致団結」するところが「日テレ」の特長だ。

 V9時代の巨人、あるいは広岡・森監督時代の西武のようにスターであってもチームバッティング、時には送りバントも辞さない──そんな天衣無縫とも呼ぶべきチーム力こそが、日テレの強さの源泉と言えよう。

 ただ、V9末期や、森監督時代の西武は「強いけどつまらない野球」とも言われた。現在、他局につけいる隙を与えない日テレであるが、「間違いなく視聴率を取れるやり方」で番組を作る一方で、冒険心に富んだ企画は実現しづらい一面もある。視聴率を確実に取りにいくがゆえに、無難だけど似たような感じの番組が増えているのが気がかりだ。

 若いディレクターたちが「自分も早く番組を当てなければ埋没する」と焦燥感を募らせているのも事実である。

 日テレは03年「視聴率買収事件」を起こした。

「元日テレ・敏腕プロデューサーが明かす「3年連続視聴率3冠の秘密」(8)無難で似た番組が増えたが…」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 11/10号村上和彦中島知子日本テレビ24時間テレビエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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