能年玲奈「のん」騒動にアニメ作品「この世界の片隅に」が引っ張られている件|やまもといちろうコラム (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

 熱心なファンによる「テレビ局が取り上げない」という俗にいうマスゴミ批判は、一面ではそれだけ熱量があるのだという反面、低予算アニメ映画がテレビ局の取り上げたくなるような内容で営業に来ることの大事さという観点を欠落させます。せっかく盛り上がっているのに、その程度のネタがメインに来るようでは局地的なブームで終わってしまいかねません。改名騒動を起こした以上、あの能年玲奈が主人公の声優として熱演、という取り上げ方は確かに配慮は要るでしょうが、映画として面白い、健闘しているというセールスぐらいはあって然るべきだと思います。実際、テレビ局やラジオなどは、ぼちぼち取材依頼しているでしょうし、能年玲奈ファンのいる岩手県でも公開日は特集をしており、また低予算映画の割にそれなりにメディアでも取り上げられています。

 ただ、せっかく面白い映画だと話題にされる割に、いつまでも能年玲奈の独立騒動とセットで語られる程度の話題性でしか話が出ないようだともったいないことでしょうし、本人の今後の活動にもプラスになるはずもありません。テレビで取り上げられなかったのは、能年玲奈の独立騒動でタブーになっていたからだけではなく、映画が始まりますという営業が来てないからです。なので、ちゃんとこの映画の面白さが話題になり、盛り上がっているいまこそ、何か適当なオフレコ話を他所でするより、ちゃんと界隈に詳しい人を営業で雇ってセールスキット作ってメディア訪問したほうがよほど良いのではないかと感じます。

 蛇足ですが、なぜか配給元のテアトル東京が仕掛け人となって「この映画の監督さんを海外へ連れて行こう」とクラウドファンディングが立ち上がり、草の根感を強調するようなムーブメントが起きてます。これはこれで、映画ファンや支持したいという熱量を受け止めるのには素晴らしい仕組みだと思う一方、ビジネスのサイズとして千万単位というのはいかにも小さすぎます。能年玲奈もさることながら、周囲にまともな大人がいないのかと心配してしまう典型的な事例になっているので、ぜひクールジャパン的なアプローチでもう少し背伸びしてもらえると三方良しでみんなハッピーな感じがします。

 どうせ良いものを作って人気になっているのであれば、ちゃんとやればいいのに、と思った次第でございます、はい。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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