金正恩氏を追い詰める「ぜいたく品プレゼント」大作戦 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正恩氏を追い詰める「ぜいたく品プレゼント」大作戦

クリスマス・イブである。今日から明日にかけて、家族や恋人、友人の間でたくさんのプレゼントがやり取りされるだろう。

一方、本欄でも指摘した通り、北朝鮮にはクリスマスを大っぴらに楽しむ習慣はない。一部の特権階級や金持ち家庭の若者が、海外から「密輸」された文化として密かに楽しんでいるだけだ。

パーティー狂い

そんな内容の原稿を書きながら、ふと思ったことがある。われわれは、北朝鮮の金正恩党委員長に「プレゼント」を贈るべきではないかということだ。それも飛び切り高価なものを、大量に。

正恩氏は、夜な夜な愛車のステアリングを握る「走り屋」の横顔があり、現地指導を行う際にも高級外車に乗っている。クルマ関係の「プレゼント」には間違いなく飛びつくだろう。

ただし「プレゼント」と言っても、タダで与えようというわけではない。彼の欲しがる高級品を北朝鮮当局が調達できるよう、便宜を図ってやろうという意味だ。

韓国国会外交統一委員会に所属する与党セヌリ党の尹相現(ユン・サンヒョン)議員は10月、中国税関の貿易統計などをもとに、金正恩体制が発足した2012年からの4年間で北朝鮮のぜいたく品輸入額が約27億ドルに上るとの調査結果を発表した。内訳は、最も多い2014年が8億ドルで、最も少ない2015年は6億694万ドルである。

品目別では、2015年にも化粧品(966万ドル)や電子製品(3億3547万ドル)が前年に比べ減っていない一方、酒類(1611万ドル)と時計(337万ドル)は輸入額が大幅に減少しているという。

ぜいたく品の対北輸出は国連安保理の制裁決議で禁じられており、たとえばスイスは、北朝鮮への時計の輸出を全面的に遮断している。しかしもしかしたら、われわれは本来すべきことと反対のことをしているのではないだろうか。

考えても見てほしい。仮に、北朝鮮に大量の高級時計が輸出されたとして、それで韓国への軍事的脅威が増したり、日米が情勢的に不利になったりするだろうか。正恩氏が、たとえ最高級スポーツカーを100台揃えてみても、それで米韓連合軍に対抗できるわけではないのだ。

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