課題先進国ニッポンを救うイノベーションの教科書 (2/2ページ)

新刊JP

車への所有欲をひたすら搔き立てる現行の自動車メーカーのテレビCMを見ると、にわかには信じがたい未来だが、海外を見ると自動車産業の「移動サービス業」化はすでに始まっている。

2015年にフォードがカーシェアビジネスに参入。フォード車の購入者が、車を使わない時にフォードを通じてその車をカーシェアに出すことができるサービスを始めた。このサービスの利用者は、マイカーをカーシェアに出すことにより、その車の購入にかかる金銭的負担を軽減することができるのだ。

アメリカ西海岸で行われた調査によって、市場にカーシェア車両が1台投入されると、自家用車は15台減ることが明らかになっている。自動車メーカーが「製造業」であるうちは、カーシェアを伴う「移動サービス業」化は自分の首を絞める行為でしかない。

それでもフォードが「移動サービス業」へ参入したのは、「所有から利用へ」の流れが不可避なものだからである。他社に先を越される前に、「移動サービス業」としての地盤を固め、シェアを確保したいという狙いがあるのだ。

日本がこの流れに乗るとしたら、「少子高齢化」や「地方の過疎化」はむしろ追い風になるはずだ。先進国の多くが経験するこれらの問題が一足早く押し寄せている今の日本は、先進国がいずれ行き着く諸問題へ対処するためのノウハウをいちはやく手に入れるチャンスともいえるのである。

本書によると、第四次産業革命に際して、日本から新たなイノベーションが生まれる可能性は、サービス業や製造業など多岐にわたる。

では、どのようなイノベーションが考えられるのか。起業や新規事業にかかわる人にとって、本書で挙げられている事例と考察は重要に違いない。

(新刊JP編集部)

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