草なぎ剛『嘘の戦争』第3話・よくできた脚本なのに残念な”山本美月の存在”

デイリーニュースオンライン

フジテレビ『嘘の戦争』公式ホームページより
フジテレビ『嘘の戦争』公式ホームページより

 草なぎ剛(42)が主演を務める「嘘の戦争」第3話が24日に放送され、平均視聴率は11.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)となりました。話はどんどんおもしろくなってきている一方で、微減とはいえ前回より0.7ポイント下落。ただ、他の地区では軒並み関東より視聴率が高いため、関東地区でもこれから盛り返しがあるかも。

 第2話のラストで明かされていた通り、第3話は少年時代の一ノ瀬浩一(草なぎ剛)にうその証言を強要した刑事・三輪郁夫(六平直政)を破滅に追い込むストーリー。第2話で確立された「1話で1人に復讐する」という展開は第3話でもしっかりと踏襲されました。

 コワモテ刑事だけにさぞかし普段から悪徳なのだろうと思いきや、意外にも清廉潔白だった三輪刑事。一ノ瀬は過去の悪事をネタに攻めるのをあきらめ、犯罪者にでっち上げることで三輪を破滅させようとします。

 ここで一ノ瀬が選んだのが、「一度ヒーローとして世間に注目させてからスキャンダルを出すことで、世間に叩かせる」という手法。今の時代の世相をよく反映しています。盗撮スキャンダルを2度にわたって仕掛けたのも用意周到。確証がなくても、同じようなスキャンダルが何度か流れると「あいつはやってるに違いない」と思ってしまうのが世の常。情報拡散社会のワナをよくとらえた脚本です。

 第3話で注目したい点といえば、早くも二科家にたくらみがバレそうになったことと、過去2回のように悪党を徹底的に破滅させたのではないところ。なかなかのキレ者として描かれている二科隆(藤木直人)は、30年前の事件の関係者に次々と不審な出来事が起こるのは、一ノ瀬が接触したせいであることまでは見抜いています。ただ、偽ブログのせいで目をくらまされ、当時の生き残りである千葉陽一が一ノ瀬浩一と同一人物であることには気付かず。情報を多く得ている者が情報に振り回される描写はなかなかいいですね。

 一方、偽ブログなど見ていない三輪刑事は、「オレ子供の頃、ひどいうそをついたことがあるんです」との一ノ瀬の言葉から、彼が30年前の事件で生き残った少年であることに気付きます。

 二科隆によって一ノ瀬と対面させられるも、「この人には会ったこともない」ときっぱり語る三輪刑事。30年前、娘がアメリカで心臓移植を受けられるように手配してやると持ちかけられ、そのために少年にうその証言を強要するという大きな罪を犯したと告白。「悪かったね、人違いで呼び出されて。本当に、申しわけなかった。申しわけなかった」と声を振り絞るように語り、嗚咽します。怖そうな顔をした刑事さんにもそんな事情があったとは。悪い人じゃなさそうだし、なんだか同情していまいます。そんな視聴者の思いをくみ取ってか、一ノ瀬は「誤解が解けて良かったです」と三輪刑事を抱き起こし、目をまっすぐに見つめて「オレは、嘘つきって呼ばれるのが大嫌いだから」と静かに語るだけで立ち去ります。

 悪いやつは徹底的に破滅させるけれど、やむにやまれぬ事情があった人や反省している人を徹底的に追い込むことまではしない。視聴者に後味の悪さを与えず、主人公を応援したくなるように仕向ける、絶妙のさじ加減と言えそうです。

 こうなってくるとだんだんわからなくなってくるのが、一ノ瀬が二科楓(山本美月)に近付く理由。近付くことで二科隆(藤木直人)にも二科興三(市村正親)にも怪しまれており、当初の「楓を手掛かりに二科家に近付く」という目的はほぼ絶たれています。楓自身もニシナコーポレーションにはかかわっておらず、情報ルートにはならなそう。となると、本当の目的は一ノ瀬を信頼しきっている二科晃(安田顕)にさらに取り入ることなのか……。まさか、ただ単にラブストーリー要素を入れてみたかっただけってことはないと思うので、今後の種明かしに期待します。

文・中島千代

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