電通はあちゅう炎上事件と正論の言い方問題|やまもといちろうコラム

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Photo by Pixabay
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 山本一郎(やまもといちろう)です。貰い事故をすることはあるけど私は元気です。

 ところで、先日電通時代の先輩から言われたことを、はあちゅうこと伊藤春香女史(31)がTwitterに書いたら、その書き方が見下しているということで炎上していたので見物しにいったわけです。

 そしたら、火事場野次馬の友、ガジェット通信が既に顛末を記事にしていたのと、早めにはあちゅう女史自らが釈明のようなブログを掲載していたので興味深く思ったわけです。もちろん、ツッコミを入れた茂木健一郎さん(54)の内容も良く分かります。

自分の考える「普通」は「普通」じゃないということ - はあちゅう 公式ブログ
茂木健一郎さん「うわあ、偏差値なんてことを言ってはいかんぜよ…」 はあちゅうさんの”電通ツイート”に苦言 - ガジェット通信

 で、一番の問題は「はあちゅう女史は別に間違ったことを言っていない」という点です。単純に、同じことを言うのでも、適切な言い方について考えろ馬鹿という程度であって、これが「はあちゅう」「電通」「偏差値」という可燃性の高いキーワードが無ければ特段の炎上も起きなかった事案だろうと思うんですよね。

 ぶっちゃけ、ネットでは電通グループはいろいろ言われがちな企業ですが、逆に入社してキャッキャウフフしたい業界大手として大人気であるのも事実で、ブラックだなんだと批判をされても俺はソルジャーで頑張るぜ、電通に入ったと言えば田舎の親が喜んでくれるといったモチベーションも強いでしょう。私個人としても、別に取引があるわけじゃありませんが人間として魅力的な社員も友人に多く、ああ確かに電通っていい会社なんだろうな(性格があって、体力があれば)と思う会社です。

 当然、就職も狭き門でしょうし、社会的にもステータスが高い企業であるため、はあちゅう女史の言う「偏差値60以上」、すなわち上位15.9%に位置する人たちなんだ、と言われても「まあそうですね」か「いやいや、電通はもっと偏差値上じゃないですか」って感じの話になります。偏差値だけで見ればね。

■根っからの炎上体質?

 で、そういう電通で働いている先輩も、偉大な企業の一員であるという自負もあれば、情報を扱う仕事だという責務も感じているでしょうから、自分たちのような人間が見聞きして理解しているレベルのことをそのまま世間に投げても、イマイチな感じでピンとこない反応しか返ってこないだろう、だから目線を下げて多くの人たちに理解してもらえるような仕事を心がけよう、驕ってはならない、みたいなことは言うと思うのです。

 反対の観点からすれば、偏差値40以上の人というのは日本人全体の84.1%を占めるわけですから、多くの人たちに何かを訴求するのが仕事の広告代理店では実に当然の考え方になります。マーケットを偏差値40未満の奴らのことは知らん。

 そういう含蓄のある話をしているのかもしれず、ただしはあちゅう女史の炎上脳(のようなもの)というか炎上体質というか、サービス精神が発揮されると揮発性の高い黒煙が簡単に上がるタイプの文章に化けてしまう、というのが彼女の作家性なのではないかと思います。また、元電通という肩書きを上手く使いながらネットで有名人になりうまいことをやっている、という彼女への嫉妬のようなものもあるのかもしれません。

 それでも、二年ぐらい前の、何だかよく分からない感じのハングリー精神の叩き売りみたいな状況からは気持ち的に脱したのか、小説の単行本出したりキラキラ系サロンやったり楽しそうで良いのではないかと思いました。

 ただ、プロフィール写真で盛るのはいかがなものか。

 そのままでいいよ、そのままで。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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