元マイクロソフト役員が警鐘 「働き方改革」に潜む落とし穴 (4/4ページ)

新刊JP

企業戦略の一環としてとらえて、まず意識変革などのアナログ改革からはじめ、社員が腹落ち感を持ったことが成功の理由でしょう。実際に社員全員がテレワークをやってみて、意外とスムーズに仕事が進むことがわかった(笑)。スムーズに行くどころか、通常の実務だけでなく、震災時の災害復旧活動など追加の仕事もさばけてしまったんです。

日本マイクロソフトは、2011年2月の時点ですでに品川への本社オフィスの集約移転をすませていましたが、その後、本格的に改革に乗り出し、事業生産性は26%アップ、女性の離職率は40%減少するなどの成果をあげました。

――いま「事業生産性」という言葉が出ましたが、本書でかなりのページを割いて、日本マイクロソフトの働き方改革を紹介しているのは、多くの日本企業が抜け出せずにいる長時間労働問題に一石を投じたい…という思いがあってのことですか。

越川:そのとおりです。欧米の働き方をそのまま日本企業に適用してもうまくいかないということは重々承知しています。

そこでいわゆる外資っぽい「バリバリの個人主義」といった雰囲気でもなく、かといって典型的な日本企業という感じでもない日本マイクロソフトが、実際に取り組んで一定の成果をおさめたケースを紹介することには意味があると思ったんです。

同社の従業員は約9割が社外からの転職者。日立、富士通、NECなどの日系企業から移ってきている社員もいます。つまり、もともとは日本的な働き方をしていた人々が、自分たちに合う形で欧米の働き方を取り入れていった例として、本書の事例を参考にしていただければなと思っています。

日本人はとても真面目で慎重ですし、製品やサービスの品質などパフォーマンスも高い。でも、ちょっとした意識の持ち方やプロセスの設計に問題があるせいで、「長時間働いているのに、成果が出ない」となっている例は少なくありません。

ですので、本書を通しての啓蒙活動はもちろん、私がアグリゲーターとして活動することで、日本人の働き方をめぐる悩みを少しでも解消していきたい。これが独立した最大の理由です。
(後編へ続く)

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