金正恩氏が「やりたい放題」できる本当の理由 (1/2ページ)

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金正恩氏が「やりたい放題」できる本当の理由

米紙ニューヨークタイムズは4日付で、トランプ大統領就任後、ホワイトハウスでは先月28日から2回にわたり安全保障関連の会議が開催され、対北朝鮮戦略での「あらゆるオプションについて検討が行われた」と伝えた。そしてその中には、「韓国に戦術核兵器を再配備することで『劇的な警告』を行うことも含まれていた」という。

吹き飛ぶ韓国軍兵士

まだ検討段階であり、現時点では実現する可能性は低いと見るべきだが、それでもショッキングな話である。

戦術核兵器は、戦場において通常兵器の延長として使用することが想定されているものだ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)など、敵国の人口密集地や産業集積地、軍事施設の壊滅を狙う戦略核兵器は、使ったらたちまち全面核戦争になり、人類が存亡の危機に立たされる。だから、使うに使えない。そこで、よりコンパクトな「使える核兵器」として開発されたのが、戦術核兵器なのである。

では、このような物騒なシロモノを韓国から北朝鮮に向けることで、金正恩体制の核開発を抑え込むことはできるのだろうか。筆者は、難しいと考える。

まず、中国とロシアが猛反発するだろう。とくに中国は、米韓が北の弾道ミサイルに対抗して最新鋭高高度迎撃システム「THAAD(サード)」を在韓米軍に配備しようとしていることに激怒。自国における韓国企業のビジネスや中国人の韓国観光を妨害するなど、実質的な「経済制裁」に動き出している。戦術核兵器の韓国配備となれば、反発の強さはこの比ではないだろう。

そうなれば、国連安全保障理事会の足並みは大きく乱れ、対北朝鮮制裁の網に次々と穴が開くことになるはずだ。

次に、韓国社会は「核戦争」の心理的負担に耐えられるのか。2015年8月、自国兵士が北朝鮮の仕掛けた地雷に吹き飛ばされる様を見せつけられた韓国の世論には、「一戦も辞さず」との気分が少なからずあった。

デモをすれば虐殺

ただしそれは、北朝鮮の核・ミサイル開発が2016年に大きく進展する前のことであり、朴槿恵政権がスキャンダルに瓦解し、政治が国民の信頼を失う前のことだった。国論が完全に分断された状況下で、韓国の政治が戦争を、それも核戦争を想定することなどとうてい不可能だ。

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