北朝鮮がマレーシア国民の出国を禁止…金正男氏事件で「人質」に (2/2ページ)
北朝鮮政府は、マレーシアが大使館を撤収しようとしていると見て、先手を打ったのかもしれない。
金正男氏の殺害事件は、それが外国において強行されたにせよ、本質的には金氏一族の内部問題であり、北朝鮮国民の人権問題であった。
しかし北朝鮮がマレーシア国民を人質に取ったことで、事態はもはや、そうした範囲に収まらない、深刻な国際問題に発展する可能性が出てきた。
ハッキリ言ってしまうならば、これは北朝鮮政府が、マレーシア国民を公然と拉致したも同様の事態と言えるのである。
今後いっそう問題が複雑化し、北朝鮮が強硬な姿勢を取り続ければ、マレーシアは国交断絶どころか、自国民を救出するための実力行使を検討するかもしれない。もし、マレーシア一国でそれが難しいとなれば、米国や韓国に対し加勢を求めることも考えられる。
国際常識を無視した北朝鮮の暴挙により、クアラルンプールで起きたひとつの殺人事件が、朝鮮半島の安定を揺るがす大問題に発展しかねないのである。