クックパッド社に”ちきりん”が社外取締役就任で広がる混迷|やまもといちろうコラム

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 山本一郎(やまもといちろう)です。しばらく酒を控えていたのですが、週末に家族でお出かけがあって、浴びるように酒を飲んだところ、やたら酒が回るし体重は2kg増えるしでいいことひとつもなしでした。悪酔いはほんと良くないですね。

 ところで、以前から大政奉還が行われて悪酔いしたような状況に陥っていたクックパッド社が、社外取締役に「ちきりん」としてネットでは著名な評論家・伊賀泰代女史を迎えるという泥酔なのか酔拳なのか良く分からない人事が発表されていました。何ですかこれ。さっそくいろんなところで物議を醸しているようですが、こういう騒ぎになることも分かったうえで思い切った人事だということならば、みんな術中にハマってしまったことになります。

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「食材はネタの鮮度が命」という話ではありませんが、さっそくHagexさんにちきりん名義で書かれたツイートが晒されておりました。もっとも、家で料理をしないということは、必ずどこかで外食するか、惣菜を買って帰るという市場が広がりを見せていなければならないのですが、むしろ企業の接待交際費の伸びに支えられて2016年は前年対比2%強の市場拡大程度でしかないことを考えると、伊賀女史の思惑通りに話が進むのかどうか、ちょっときちんと見ていく必要はあると思います。

食も、「家で料理する」という習慣は、これから急速に無くなっていくと思う。ワーキングマザーが家で朝ご飯と弁当を作ってるなんて異常な状況がいつまでも続くはずがない。こういうの、なんかの呪縛にかかってると思う。

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 もちろん、伊賀女史の予想通り自宅での料理の頻度が減れば、レシピサイトであるクックパッドは閲覧者数を失うことになるわけで、そういうことを見越した社外取締役人事だと言われれば「そうなのかな」とも言えます。おそらくは、食材調達や新鮮な惣菜の配送など周辺ビジネスにもクックパッドがしっかり目線を配れば成長路線に乗ることも考えられなくはないわけですから。

 むしろ、経済マスコミがクックパッド社の現状についてあまり芳しくない社内状況を繰り返し報じているのが気になります。

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■”ちきりん”を抜擢したクックパッド社の思惑

 もちろん、単純にネタとして面白いからお家騒動の顛末として取り上げているという点では、三越伊勢丹ホールディングスの社長人事や大塚家具の父娘の確執などなど興味本位で取り上げられることはたびたびあります。ただし、クックパッド社の場合は創業者で筆頭株主の佐野陽光さん(43)が、どこぞの金融会社の人に突き動かされる形で経営権を取り戻すという王権復帰を果たしました。それにあたって、それまで曲がりなりにもクックパッド社を成長させてきた取締役以下幹部との対立を先鋭化させてむしろ追い出してしまうという、ちょっと最近の好調企業では類を見ないタイプの騒動であることはやはりしっかりと考える必要があるのではないかと感じます。

 そこで、意外と名著である『採用基準』など、人事系のコンサルタント経験がないわけでもなさそうな伊賀女史を起用して、パブリシティと人事戦略の両面で社外取締役としてのポジションで活躍してもらおうと思ったのだとしたら、凄い博打だなと思うわけであります。あるいは、ダイヤモンドその他経済誌全般からのバッシングは避けられたとして、これらの媒体でそれなりに稼げる書き手として重用されてきた伊賀女史を起用すれば、少なくとも伊賀女史と関係の深い媒体からは叩かれづらくなるだろう、みたいな読みがあったのかもしれません。

 さらには、堀江貴文さん(44)がキャピタルフライト防止税制を使うためにアメリカから日本に帰ってこない佐野さんDISに回る一方、そもそも堀江さんはクックパッド社の追い出された経営者・穐田誉輝さん(47)との対談もしていたり関係値があるのでしょう。ポジションがはっきりしているので、そのあたりも含めて考えるにしても、言っていることはその通りではあります。

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 もうここまでくると、クックパッド社の混乱を具にした百鬼夜行の趣であって、ある意味で酒でも飲んでないとやってられないのかもしれません。困ったもんですが、それが世の中の仕組みだ、ということなのでありましょうか。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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