金正男氏の「殺害情報」を広める「情報通の奥様」たち (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正男氏の「殺害情報」を広める「情報通の奥様」たち

北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件のうわさが、口コミで北朝鮮国内に広がりつつあることはデイリーNKジャパンでも報じているが、それに加え、マレーシア駐在のカン・チョル北朝鮮大使が国外追放されたことも知れ渡りつつある。当局は懸命にうわさの拡散を抑えようとしている。

情報に飢えている北朝鮮国民の口コミの伝播力には恐るべきもので、最高幹部のスキャンダルや失敗した反政府活動の顛末、大規模事故の修羅場などが、海外にまで詳細に伝わってくるほどだ。

中国の情報筋によると、中朝国境地域の北朝鮮側では、当局が事件のうわさの拡散を防ぐため、監視と統制を強化し箝口令を敷いた。数日前まで金正男氏殺害事件のことを話していた北朝鮮の貿易関係者も急に黙り込み、何を聞いても「知らない」と言うようになったという。

また、新義州(シニジュ)や会寧(フェリョン)の貿易関係者に電話をしても、以前とは異なり国際情勢の話は一切持ち出されなくなった。新たな盗聴装置が導入されたようだと情報筋は述べた。

さらに、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、北朝鮮当局が、事件のうわさが広まらないように、2月中旬から中国に滞在する北朝鮮の貿易関係者の北朝鮮への帰国を許可していないと伝えた。

しかし、帰国禁止令が徹底していなかったのか、実務に支障が出たため禁止令が解除されたのかは不明だが、現在では帰国できるようになったものと思われる。その結果、当局の恐れていた通りの状況となった。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、海外在住、または長期出張に行っていた複数の貿易関係者が帰国し、海外で聞いたニュースを家族や親戚に話したところ、驚くほどの勢いで拡散し始めたという。

最高指導者一家に関するうわさだけあって、下手なことを言うとどんな目に遭わされるかわからない。

だから出張から家庭に戻ったお父さんたちは「ここだけの話」として身内だけに語って聞かせたはずだが、情報通でおしゃべり好きとして知られている貿易関係者の妻たちが黙っているわけがなかったのだ。

妻たちの話は市場での井戸端会議で次々と拡散し、遂には全国に広まってしまったという。

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