秋津壽男“どっち?”の健康学「禁煙中の猛烈な食欲とどう向き合う?一時的な体重増よりも健康を優先せよ」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

保険のルール上、禁煙治療では3カ月しか治療ができませんが、この3カ月の間に、イライラする症状を抑える治療法を試してみるのも手です。

 それは「チャンピックス」という飲み薬です。タバコを吸うと、脳内のニコチン受容体にニコチンが結合、快感を生じさせるドーパミンが出ますが、チャンピックスを服用して受容体に結合させると、ニコチンよりも少量のドーパミンが放出され、結果的にヤニ切れ症状を軽くさせます。

 つまり、ニコチンを先に体に入れることで、一服した時のおいしい感覚が1日続くため、タバコを吸ってもおいしいと感じなくなるのです。酒に例えれば「飲み過ぎてもう飲めない」という状況を作り出してくれるわけです。「タバコはおいしくない。私が欲しかったのはニコチンだ。ニコチン中毒だからニコチンが欲しくなくなればタバコなどやめられる」という理論を学習するわけです。

 禁煙成功後も、「1本だけ吸ってみるか」となることがあります。この1本が気がつけば10本となりますので、禁煙に成功したあともチャンピックスをいくつか持っておき、酒席の前に飲んでおくと、吸いたいという欲求を抑えられます。

 健康が維持できる、ランニングしても息が切れない、高い店と安い店の味の違いがわかる、肌が荒れなくなったなど、太るデメリット以上に禁煙のメリットは大きいのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「禁煙中の猛烈な食欲とどう向き合う?一時的な体重増よりも健康を優先せよ」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 3/16号“どっち?”の健康学秋津壽男食欲タバコカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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