秋津壽男“どっち?”の健康学「禁煙中の猛烈な食欲とどう向き合う?一時的な体重増よりも健康を優先せよ」 (1/2ページ)
「禁煙したところ、食欲が増してしまいました。夜になると食べたくなるのですが、酒でごまかそうかと思っています」
先日、ある患者さんからこんな相談を受けました。禁煙の副作用、と言えるかもしれませんが、ここで質問です。
禁煙中に食欲が旺盛になった場合、酒で紛らわすべきか、太るのを覚悟で食べるべきか、どちらでしょう。
答えは食事を優先することです。なぜなら酒を飲むとタバコが吸いたくなるからです。タバコは酒とコーヒーとの相性がものすごくいいため、喫煙欲を高めます。紅茶や日本茶を飲んでも吸いたくならないのに、酒やコーヒーだと吸いたくなるのがタバコであり、1杯目は我慢できても2杯3杯と飲むうちに理性のタガが外れます。禁煙を成功させたいなら、理性を飛ばすお酒はNG。一緒に飲んだ人がタバコを吸えば、一緒にどうしても吸いたくなるでしょう。そう考えると、酒を飲んでもタバコが吸えないお寿司屋さんなどは、禁煙中の食事場所としてはベターな選択となります。
もちろん食欲に応じて食べれば太りますが、禁煙のような「我慢行為」の場合、何か一つご褒美が必要です。そう考えると、禁煙のイライラを食事でごまかすのは正当な手段です。
禁煙で太るのは、禁煙により舌が敏感になっておいしく感じるためです。1日40本も吸っているヘビースモーカーの場合、胃腸も悪くなり食欲も落ちます。禁煙すると胃腸の調子もよくなるので食べる量が増えるのは当然の結果です。
太るのを気にしすぎると禁煙できませんので、最初のうちは「太ってもかまわない」と覚悟して、食べたいうちは食べましょう。そのうち太った分をダイエットすればいいのです。
口が寂しくなるので、禁煙を成功させるには、口をごまかす食べ物も必要です。ガムや塩昆布、大きな飴など、いつまでも口の中にあるものがベター。フリスクをかまずに我慢するのもいいでしょう。
タバコが我慢できないイコール「ニコチン中毒」です。ニコチンが欲しくてしかたがない、という中毒症状ですので、中毒治療が手っとり早い治療法となります。