世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第214回 続・移民政策のトリレンマ (2/3ページ)

週刊実話

これは、極めて重要な論点だ。

 例えば、日本の農業に若い日本国民が次々に参入している状況ならば、「国籍条項」(中国を除く、など)付きで外国人を日本の農家が雇用することについて、それほど反対する気もない。とはいえ、現実の日本の農業は「若い人が参入しない」状況が続いている。
 「だから、外国人労働者を入れるしかない」
 と、考えた人は、あまりにもナイーブ(幼稚)である。少し考えてみれば誰でも分かるはずだ。
 何しろ、日本の農業の高齢化が進み、若者が参入しないことを理由に外国人を受け入れ、人手不足を解消したとしても、高齢者は間もなく引退するのだ。日本の農家の47%を占める65歳以上の多くは、40年以内には死亡する可能性が高い。少なくとも、農地で働くことは不可能になる。
 となると、高齢者がこの世を去るか、もしくは農業から引退した以降、わが国の農業は主に「外国人」により担われる状況にならざるを得ない。論理的に、必ずそうなる。
 しかも、日本に流入する外国移民の過半数は中国人だ。将来的に、わが国は農業生産のほとんどを外国人(しかもメーンは中国人)に依存せざるを得なくなるわけである。まさに亡国の政策としか呼びようがない。

 「ならば、農業の人手不足はどうすればいいのか!」
 と、反論したくなったかも知れないが、だからこその生産性向上なのである。ロボットやAIを活用することで、農地で人がこなしている作業を代替可能にするためであれば、政府は年に兆円単位のおカネを使っても構わない。
 同時に、若者の農業への参入を促し、技術を継承するために、政府が農業を「必ずもうかる産業」と化すことも重要だ。「もうかる産業」ではなく「必ずもうかる産業」という点がポイントである。
 具体的には、耕作放棄地を若い世代に耕作してもらい、生産された農産物を政府が適正価格で全量買い取るのだ。コメの場合は、生産能力1000万トンに対し、需要が600万トンであるため、400万トンの政府買い取りが必要になる。
 政府は、買い取ったコメを外国にダンピングしてたたき売ればいい(譲渡しても構わない)。

「世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第214回 続・移民政策のトリレンマ」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る