世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第214回 続・移民政策のトリレンマ (3/3ページ)

週刊実話

日本のコメの生産能力が維持される上に、コメを購入した(もしくは受け取った)国の国民の胃袋が「日本の農業に依存」することになり、わが国の安全保障の強化にも貢献する。まさに一石二鳥ではないか。

 ちなみに大東亜戦争後のわが国は、アメリカから「米食」から「パン食」への切り替えを強制された。結果的にアメリカ産の小麦が大量に流入し、日本の穀物自給率はひたすら下がっていった。上図(※本誌参照)の通り、日本よりも穀物自給率が低い先進国はオランダのみだ。
 米を除く穀物、例えば、大豆、トウモロコシ、小麦といった穀物を、われわれは完全にアメリカに依存してしまっている。日本はもはやアメリカ産大豆がなければ、しょうゆもみそも作れない。読者の日々の舌を楽しませる日本産畜産物も、食べているのはアメリカ産の配合飼料なのだ。

 それはともかく、日本は農業が高齢化しているからこそ、若者の農業参入を促し、技術継承、技能継承をしなければならないのである。それにもかかわらず、安倍政権は「外国人」で人手不足を埋めようとしている。これを亡国の道と呼ばずして何と呼べばいいのだろうか。
 わが国は農業分野に外国移民を入れることで、「食の安心」という点でも安全な国家ではなくなっていくのである。移民政策のトリレンマには逆らえない。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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