北朝鮮とアメリカが戦争突入か?危機を伝えぬ”大手マスコミの罪”

日本にとって朝鮮戦争(注1)、いや第二次世界大戦以来の危機かもしれない。
核実験やミサイル発射を繰り返す金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が率いる北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対して、ドナルド・トランプ大統領のアメリカ合衆国が激怒。かつてない強さで、「(軍事力行使を含む)あらゆる選択肢を排除しない」とストップさせようとしているからだ。
実際、原子力空母カール・ビンソンを中心とした第1空母打撃群(注2)が、予定のオーストラリア寄港を取りやめ、朝鮮半島へ北上。かのビン・ラディン容疑者(注3)殺害計画をやってのけた米海軍特殊部隊ネイビー・シールズ支援船が、沖縄で目撃された。つまり取り沙汰されている<北朝鮮の核・軍事施設への空爆>と<金正恩の斬首>のどちらか、あるいは両方に対応する体勢が整いつつある。
……その北朝鮮攻撃のXデーは、5月9日までが濃厚とする説がある。韓国大統領選挙の日であり、おそらく親北朝鮮にして反日・反米の政権が誕生する。そうなる前に、という予測だが、
「韓国情勢より、中国の出方次第かと。先の米中首脳会談では、トランプ大統領が習近平主席に対し、“(後見国である)中国の責任において、北朝鮮の核開発を止めさせろ”と迫ったことは確実視されています。会談の真っ最中にシリアを空爆して見せたのも、アメリカは本気だぞというアピールも含んでいた」(軍事に詳しいジャーナリスト)
つまりアメリカは習近平主席に対して、「まずはお前がやってみろ」とボールを投げて様子見している状態のはず、という。何らかのバーターは提示したのだろうが、前オバマ政権には無かった強気の姿勢だ。
■世界が緊迫するなか日本は大手マスコミが報道自粛?
中国にしても反抗的な金正恩を抑えて、朝鮮半島を非核化することはメリットがある。しかし北朝鮮に近い人民解放軍北部戦区(旧瀋陽軍区)は、習主席の政敵である江沢民一派の牙城。つまり中国内の権力闘争も絡み、北朝鮮暴発を抑えられるかは不透明なままだ。
「中国が協力してくれるならいいが、それが無くとも我々はやる」
と言うトランプ大統領。北朝鮮が次の核実験を行なったり(注4)、ICBM(注5)完成の事実を掴んだら、中国がどう出ようとアメリカは攻撃を実行する可能性が高い。そうなれば当然、撃ちもらした軍事施設などから日本へミサイルが発射される危険が増す。冒頭のように、まさしく国民の生命・財産への深刻な脅威が迫っている。
——翻ってわが国の現状はというと、非常に心もとない。自衛隊や防衛省には危機感があるはず(注6)だが、いまだに「森友学園が〜」などと言う野党議員や、不自然なくらいに朝鮮半島危機を伝えない大手マスコミもある。精鋭部隊と同じシールズを名乗っていたが、残党がまた国会前でわめいているだけの連中もいる。呑気というか、ここまで来ると罪深い。
先ごろ外務省はようやく、韓国滞在者や旅行者に対して朝鮮半島情勢の最新情報に注意を払うよう求めた。渡航自粛を勧告しないのは、<Xデーはまだ来ない>という情報を掴んでいるから、と信じたいが……。
(注1)朝鮮戦争…1950年に開戦。アメリカを中心とする国連軍と、北朝鮮と中国が朝鮮半島の主導権を巡って戦った。半島全域を戦場と化して停戦したが、いまも終結はしていない。
(注2)空母打撃群…空母と搭載機を中心に、ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、潜水艦などを護衛につけた攻撃艦隊。
(注3)ビン・ラディン…国際テロ組織<アルカイダ>指導者。パキスタンに潜伏中の2011年にネイビー・シールズによって殺害された。
(注4)核実験…金正恩の祖父、金日成生誕105年に合わせて4月15日に踏み切る、との観測も出ている。
(注5)ICBM…大陸間弾道弾。これを完成させると核ミサイルが米本土まで届くことになる。
(注6)自衛隊や防衛省の危機感…無くては困る。
著者プロフィール

コンテンツプロデューサー
田中ねぃ
東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ