WELQ問題の真相を読み解く(3)「キュレーションメディア『的なもの』は悪だったのか?」~山本一郎×古田大輔×三上洋特別鼎談 (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

古田))さらにいうと、DeNAがお詫びしてよかったね、俺たちのコンテンツをどんどん奪っていくものが滅びて良かったね、みたいな風潮に今なっちゃっている。でもそうすると、ものすごく生きづらくなる世の中になる可能性っていうのがあるんですよね。

“キュレーションはすぐ炎上するからやめておこう”ってみんながなったら、何が起こるかっていうとですね、企業はキュレーションに手を出さない。でも、アンダーグラウンドな人たちがバンバンバンバン、やっちゃうわけですよ。

気の利いた情報を集めたら、面白いものが出来上がる。そこにエロい広告とかが貼られて儲けていく。そうしたら、ユーザーはそういう面白いキュレーションとかを見ようと思ってもそういう怪しげなところでしか見られなくなるし、元々の著作権者は、自分のものがどっかで勝手に使われている上にエロ広告といっしょに流れるという、誰も幸せにならない世界っていうのが来かねない。

山本)正直これ、法規制とかそういうレベルじゃなくて、単純にメディアの悪か良かという問題になっていると思うんです。あんたんとこ問題だからやめなさいとも言いづらいので、程度問題ですよねと。グラデーションをどこで切るかという話ってどうしてもあるので、ズバッと線引きして、そこで「ここから下は、全部ダメですよ」とは言いづらいと。

古田))今、僕も議論に加わっている動きがあって、インターネットメディアの協議会を作ろうという勉強会をしている。出来るだけ多くの人が集まって、少しでも信頼性、透明度を確保できるような団体が作れないかとか、ガイドラインを作れないかとか。

その時に議論になったのが、誰がサイトの評価をするのかという問題。じゃあ協議会、権威団体みたいなものを作って、そこが判断するってなったら、大モメするんですよ。ケンカしますよね。だから、その勉強会で今語られているのは、ガイドラインは作って、でも相当ゆるいもの。ゆるいけれども、危ないサイトはやっていないこと。何かっていうと、運営元を明記して、窓口をつくって、窓口に、著作権侵害などに関する指摘がきたら、速攻答えないといけない、という風なガイドラインを作る。それくらいの事であれば、一番やばいところは排除できるんじゃないか、ということをやっています。

僕は勉強会では書記で、あまり自分の意見は言わないようにしているんですけれども、ただ僕の願いとしてあるのは、何となく、ニュースメディア、新聞社の人はネットメディアのことを上から目線で見ていて、面白系の人とニュース系の人もお互いによそよそしくて、メディアの人は個人でやっている人に上から目線みたいな、なんかそういうのがあるじゃないですか。そういうのは絶対だめだよと。

山本)ヒエラルキーを感じますよね。

古田))そうそう。僕はあれがなかなか大同団結ができない理由の一つだと思うんですけれども。そうではなくて、より多くの人を巻き込めるような体制で、みんなフラットに。ネットにコンテンツを出しているんでしたら、みんなネットメディアでしょというような理解でやっていかないと、こういう問題をDeNAの問題ではなく、メディアの問題として広い視野で捉えることはできないのかなと。

三上))フェイクニュースの第三者機関を作りましょうという動きに似ていますよね。これが真実、事実なのかどうかという事をやりましょうと。日本にはそういう機関はないからね。

古田))ただ、アメリカとフランスで先にそういう取組みをやっていますけれども、面白いなと思うのは、新たにどっかの機関を作ってそこが集約して判断するというわけではないんですよね。ある組織みたいなところを作って、そこに情報が投げ込まれたら、そこに登録している、ファクトチェック機能をもっているメディアに情報を共有させて、後はそれぞれ勝手にやってねっていう仕組みです。だから、新しい警察を作るわけではない。新しい警察を作っちゃうと、そこが権力をもっちゃって、ディストピアになっちゃう。

山本)結構みんな、自分が教会権力における枢機卿になろうとしていますよね。でも結局はお互いの問題点を指摘し合うしかない。お前のサイトはこれだめ、だめだけどそこから離れちゃだめなんだよというような、ルールが徹底されなくちゃいけなくて。これって成熟した業界のビジネスをやっている側からすると当たり前の話なんだけれども、ただウェブメディアに関して、今までそのあまり機能しなかったなと思います。刺された側は例えば広告が停止されたりとか、いろいろなペナルティまであるってなれば、かなり変わるかなとは感じます。

古田))そうですね。最終的には、何でそういうメディアがどんどんどんどん生まれてくるのかっていうと、まあアドネットワークでお金が回っちゃうから。

山本)そうです。この勉強会の次回でやろうと思っているんですが、アドフラ(アドフラウド、広告詐欺)問題、人間のクズがひしめいているネット広告において、騙し広告にかなりの収益があって。色んな手口があるし、それこそ相撲みたいに48手くらいあるんです。いちばん不正が起こりやすいのは人間に偽装したbotが見ているケースだとか、広告が実は途中から差し替えられているケース、あとは読売新聞だと思ったら違うサイトに配信されていたというようなケース、さまざまなケースがあるんですけれども、そういったものを一個一個詰めていって何なのかっていうと、いろんな困難もあって誰も管理していないし、監視も追いついていないのです。

クオリティを担保するために努力をすることが、広告会社が損をする仕組みになっているんですよ。それって結局、広告会社もわかっていてやるわけです。根は深いよね、というところをきちんと整理する必要があると思っていたりするんですけれども。

三上))セキュリティ関連の話をすると、アドテクがらみの不正の話はとてもひどい状況になっているという話は出ます。でも、確証がないうちから、疑惑で書き立てるわけにもいかないし、山本さんも仰っていたような広告代理店やPR会社の不正はメディア各社も共犯関係ですから、自分の会社がドン・キホーテにはなりたくない。

古田))だからこそ、一気にみんなで指摘して動かすしかないのかなと思いますね。

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