【プロ野球】高山俊の足。左を並べた打順。踏ん張った能見篤史。阪神が「強すぎる広島」を倒した戦略とは? (1/2ページ)
「やっぱり今年もカープか……」
多くのプロ野球ファンがそう感じるほどの快進撃を続ける広島。開幕から17試合を戦い、12勝4敗1分。すでに8つの貯金を蓄える。
チーム本塁打は12本、盗塁数は17個。チーム打率に至っては.280。いずれもリーグ1位と、脅威の数字を叩き出している。
また、投手陣を見てもチーム防御率3.10はリーグ2位。94得点60失点と得失点差は34。この数字が現在の広島の強さを表しているといえよう。
この広島に唯一五分の勝負をしている球団が、超変革を掲げて2年目の金本知憲監督率いる阪神だ。
ここまでの対戦成績は3勝3敗。甲子園で行われた4月12日からの3連戦では2勝1敗。勝ち越しを決めた。
王者・広島に食らいついた甲子園での戦いを振り返り、カープに勝つために取った阪神のチーム戦略を検証してみた。
(成績は4月18日現在)
※野球の見方が変わるスマホマガジン『野球太郎Pocket』と『週刊野球太郎』でニュースやコラムが読み放題!
■足でリズムを狂わされた青柳晃洋
4月15日に行われた広島との5回戦。阪神の先発・青柳晃洋にとって、1回表の先制攻撃は、「わけがわからないまま終わった」というような印象を受けるほどの一瞬の出来事だった。
初球のカウント球を逃さず、センター前にはじき返した1番・田中広輔のヒットが悪夢の始まりだった。
続く、菊池涼介はバント。一塁走者の田中がスタートダッシュの利いた好走塁で捕手・梅野隆太郎の野選を誘う。丸佳浩はしぶとく四球を選び、無死満塁。ここで、4番・鈴木誠也の当たりはボテボテのピッチャーゴロとなり、ダブルプレーかと思われた。
しかし、本塁送球を焦った青柳がこの打球を取り損ね1点を献上してしまう。田中の鋭い走塁が頭に焼きついて、リズムを崩したのだろう。そんな先制パンチだった。
この後、青柳は1死からエルドレッドには死球で押し出し、天谷宗一郎にタイムリーを打たれ、初回から打者一巡で一挙4点を失うことになる。
足でかきまわし、走者が溜まったら長短打で一気に本塁に還す。相手投手のリズムを崩し、主導権を握る。まさに今シーズンの「カープ野球」が見られた攻撃だった。