過剰摂取も制限し過ぎもNG 体に優しい上手な塩分補給法(2)

週刊実話

 新潟県が進める県民運動「減塩ルネッサンス」による独自調査でも、味付けの重要さが裏付けられている。
 「長寿県で男女ともに日本一となった長野県をはじめ、食の魅力が溢れる新潟など、東北・北信越地方でも、県民の塩の摂り過ぎが長年の課題でした。それを行政とNPOなどが共同で研究に取り組み、新潟では“1日1グラム減”を目標にして県民運動を立ち上げ、一定の成果をあげている。塩分の過剰な摂り過ぎは、血管だけでなく、長い時間をかけて心臓や脳、腎臓などの重要な臓器にダメージを与え、命に関わる病気を引き起こす場合があると言われていますからね」(関係者)

 ただし、食塩に含まれるナトリウムは、生命維持に不可欠なミネラルの一つで、細胞外液(血液やリンパ液、胃液などを含めた総称)、細胞内液や骨の中に存在する。ブドウ糖などと結合して細胞内に栄養を運ぶ手助けをするほか、胃液、胆汁の原料となり、神経伝達や筋肉を動かすための“電気信号”にも使われる。
 「さらにナトリウムは、体液を弱アルカリ性に保ち、ホルモン分泌に影響を与えもする。塩分を摂り過ぎると喉が乾き水を飲みますが、これは水を吸収することで体内のナトリウム濃度を一定にするためなのです。それが過剰な場合、血液やリンパ液などの量が増え、60兆個と言われる細胞が肥大してしまう。これがいわゆるむくみの状態。同時に血流が増えることで血管壁はもろくなり、内圧が高まることで傷つきやすくなる。さらには胃液が濃くなり、最悪、胃がんの原因にもなるのです」(専門医)

 しかし、過度の減塩も避けなければならない。これからの季節は特に、汗によって水分と塩分が失われるため、補給が必要となる。放置すれば、過労、痙攣、夏バテなどを起こし、虚脱状態を起こすからだ。
 栄養管理士で、料理研究家・林康子さんは次のように話す。
 「家族の協力があってこそ生活改善もできると思います。おかずの調理には、香りのよいゴマ油、マイルドな酢、コショウやレモンなどを使うと、食塩を使った濃い味にしなくても満足感が得られるはずです。お弁当もポイントは野菜たっぷりに。味の濃い佃煮などをアクセントにちょっぴり入れるのもいいでしょう」

 そして「塩分を摂り過ぎた」と感じた時は、食後にカリウムの含有量の多い果物を摂ること。リンゴ、スイカ、メロン、梨、バナナなどをしっかり食べ、水を飲む。そうすることで、体内の塩分を水分と一緒に体外へと排出できるというのだ。
 「人の味覚は、大昔から体に必須な塩を美味しいと感じるようにできています。減塩目標を達成するには、実態を正確に捉え、根拠に基づいた息の長い取り組みが必要です」(同)

 塩分摂取もバランスが重要なのだ。

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