熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times ヤンキース田中将大の現状と今後の展望 (2/2ページ)

週刊実話



 今後考えられるのは、以下の3つのシナリオだ。
 (1)自分で修正点を見い出して復調し、またエースとして機能するようになる。
 (2)スプリッターとスライダーが機能しない状態が続き、6月に入っても防御率が5点台に停滞。しばらくDL入りして投球フォームのオーバーホールを行い、シーズン後半の活躍を期す。
 (3)何らかの故障が乱調の原因になっていることが判明し、長期間DL入りする事態となる。古傷であるヒジの靭帯に損傷が見られる場合は根本的な治療が必要になるので、トミージョン手術が不可避となる。
 この3つのシナリオの中で可能性が高いのは(1)である。(2)のシナリオが現実のものになる可能性は2割ないし3割程度で、(3)のシナリオになる可能性はさらに低い。昨年までは、田中が不調になると米国のスポーツメディアはヒジの状態が悪いのではないかと勘繰っていたが、今回は乱調とヒジの故障を関連付けて報じているメディアはほとんどない。速球のスピードが、前年より1、2キロ上昇しているからだ。

 今季開幕時、田中将大はサイヤング賞候補の5、6番手に名が挙がっていたが、今回の大乱調でその可能性は完全になくなった。同賞を受賞するには最低でもシーズン終了までに防御率を2点台にキープする必要があるが、それを実現するには、これから登板する22ないし23試合を防御率1.80前後で行く必要がある。これは実現不可能な数字と言える。
 現実的に考えれば、田中は今季終了までに防御率を3点台にすることが精一杯だろう。なぜなら、今後登板する22、23試合の登板を防御率3.10に収めても、シーズン防御率は4.00をかろうじて切るレベルにしかならないからだ。
 しかし、最多勝の望みは多少残っている。ヤンキースは、今季、スケールの大きい若手の台頭で得点力が格段にアップ。先発投手はそこそこのピッチングを見せれば勝ち星が付くようになった。田中は今後登板する22、23試合を防御率3.00前後で乗り切れば15勝前後はできるだろう。そうなればシーズンの勝利数は20の大台に乗り最多勝投手になる可能性が高くなる。米国では勝ち星が重視されないので4.00前後の防御率で20勝しても評価されない。しかし、日本では依然、勝ち星に価値を置く人が多いので、日本のマー君ファンは大いに沸くだろう。これからシーズン終了までの4カ月間は、勝ち星にこだわったピッチングを期待したい。

スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)
今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。
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