世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第229回 PB黒字化目標という毒針 (1/3ページ)

週刊実話

 自民党の『日本の未来を考える勉強会』(代表呼び掛け人・安藤裕衆院議員)が、PB(基礎的財政収支)の黒字化目標の撤回、公共事業および教育支出の拡大、さらに2019年の消費税再増税の「凍結」を求める提言をまとめ、今月の初めに内閣に提出する。
 自民党の2回生議員、つまり'12年11月の総選挙で初当選した衆院議員は、とにかく「数」が多い。何しろ、人数が100人を超えている。新聞報道によると、2回生議員の内、30人弱の衆院議員が提言に賛同したとのことである。

 『日本の未来を考える勉強会』の提言は、財政出動を絞ると経済が低迷し、税収も減少。財政がかえって悪化してしまうという「当たり前の話」を指摘し、PB黒字化目標の撤回と積極的な国債活用も提言。
 「こども保険」(これは単なる増税だ)ではなく、教育国債の発行も明記。さらに、消費税については凍結のみならず、「5%への減税」も視野に入れるべきと提案している。

 実は、筆者は『日本の未来を考える勉強会』の講師の一人を務めさせてもらった。筆者がこの会で講義をしていたまさにそのとき、議員会館の隣の会場では『財政・金融・社会保障制度に関する勉強会』が開かれていた。
 『財政・金融・社会保障制度に関する勉強会』は野田毅前党税制調査会長を発起人とし、緊縮財政を推進するために財務省後見で創られた自民党の勉強会である。

 発起人の野田毅議員は、
 「財政破綻の足音が聞こえてきており、このまま放置するわけにはいかない。財源の裏付けがないまま、惰性に流されるのはあまりにも無責任だ」('17年5月16日 日本経済新聞「自民・野田毅氏ら、財政再建へ勉強会発足」より)
 と、語った。
 財政破綻の足音…。「幻聴」としか言いようがない。

 無論、過去に財政破綻した国は少なくない。'12年にはギリシャ、'01年にはアルゼンチン、1998年にはロシアが財政破綻した。
 財政破綻するためには、二つ、必ず満たさなければならない条件がある。奇妙な言い方に聞こえるかも知れないが、この二つの条件のいずれかが満たされなければ、その国は財政破綻をしたくてもできない。

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