劉暁波氏の危機を傍観した中共政府と左派系メディア・人権団体の矛盾 (2/2ページ)
劉氏の国外治療を訴えた日本の人権団体、NPO組織は、アムネスティ・ジャパンのみですが、この組織は海外のNGO組織の日本支部です。普段は死刑廃止、在日外国人犯罪の擁護、不法滞在の外国人に対する特別永住権、朝鮮学校に対する学費補助の制定など、様々な人権保護をとなえる日本の人権組織や左派系メディアは、今回の事態に関しては目をつむっているのです。
おそらく、中共政府との衝突を回避したいことと、劉氏の国外治療を呼びかけても、組織に金銭的な利益をもたらさないことが理由だと思います。また、中共政府は17年6月からテロ対策を名目に、新疆ウイグル自治区に住むウイグル人たちが所持するパソコン、DVD、USBメモリーといったデジタル記憶媒体を定期的に検閲する制度を開始しました。
そして、今年(2017年)のダライ・ラマ法王(82)の誕生日は、チベットの民族的祝日と重なって、多くのチベット人がダライ・ラマの誕生日と同時に祝いましたが、このことをきっかけに中共政府は、その祝日を禁止しました。
現在、中共政府の圧政に対する抗議という意味で、チベット人の焼身自殺が相次いでいるのですが、この件に関しても人権団体や左派系メディアが声を上げることはありません。
日本の人権組織・左派系メディアは、自分たちの利益と安全を第一に考える商業団体に過ぎません。僕は日本やアメリカのリベラル派は、虚偽の人道主義を捨てて中国の人権問題に対し明確な抗議を行ってほしいと思います。
以前、キューバの指導者・フィデル・カストロ議長や北朝鮮の指導者・金正日総書記の死去を報じた際、中国共産党のホームページは同じ共産党国家の同志を追悼するために白黒に染まりました。
一方、劉氏の死去を報じた際のホームページはいつものように赤色の状態でした。中共政府は偉大な民主活動家の命を奪い、死後も哀悼することはありません。僕はこのような卑劣な組織が一刻も早く崩壊することを願っています。
著者プロフィール
漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。